2026年3月期 業績のご報告(2026年3月31日時点)
当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)における日本国内の経済環境は、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、原材料価格の高騰や円安に伴う物価上昇、不安定な国際情勢、深刻化する人手不足に伴う労務コストの上昇など、依然として先行き不透明な状況が続きました。
化粧品業界におきましては、外出機会の増加やインバウンド需要の回復により市場全体は活性化しているものの、消費者の価値観の多様化や購買行動の変化により、ブランド間の競争は一段と激しさを増しております。
こうした経営環境の中、当社グループの主力事業である直営店舗事業は、国内化粧品市場の回復もあり、売上高は増加傾向となりました。2024年3月期からスタートした中期経営計画の最終年度として、「製品価値向上」「サロン価値向上」「新しい価値の創造」の3つの重点課題に取り組み、売上高の向上及び顧客層の拡大に努めてまいりました。
また、2026年1月の創業記念日に開催した「60周年メディア発表会」において当社ブランドを広く発信するとともに、ブランディングに基づき、首都圏の大型店舗を中心とした戦略的な店舗改装を継続して実施した他、最高峰深層エイジングケア「シーボン ACシリーズ」の記念デザイン製品の投入や、主力製品「フェイシャリスト トリートメントマセ」等の「フェイシャリストシリーズ」の刷新により、ブランドプロモーションの強化と顧客体験価値の深化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における連結売上高は、当初の想定通りに進捗したことに加え、2023年10月の規約変更に伴う経過措置の終了を受け、最新の実態に基づき役務算出単価を再評価した結果、契約負債が152,624千円減少し、改めて算定された額を売上高へ振り替えたこともあり、9,267,050千円(前年同期比4.8%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は253,259千円(前年同期比48.1%増)、経常利益は281,785千円(前年同期比63.5%増)となりました。売上高の増加に伴う各段階利益の改善に加え、自己株式の取得により資本金等の額が減少したことで、住民税の税負担が当初想定を下回り抑制されたこと、業績の回復に伴い現時点での将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、回収可能性が見込まれる部分について法人税等調整額(益)が発生したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は213,614千円(前年同期比56.8%増)となりました。
当連結会計年度における当社グループの主な取り組みは以下の通りであります。
重点課題①「製品価値向上」
素肌の美しさと健やかさ、そして人生に輝きと豊かさを提供するため、「肌と心を科学する」というR&Dパーパスのもと、当期においても研究開発および製品開発を強力に推進し、独自の製品・サービスの価値創造に努めてまいりました。
基礎研究におきましては、これまで深化させてきた肌・心・身体のつながりに着目した研究を軸に、科学的根拠に基づくアプローチの高度化を図りました。当期は、前期に引き続き心理状態が肌に及ぼす影響の解明を重点テーマとし、最新の科学的知見を取り入れた研究に注力いたしました。具体的には、生体内エクソソームに着目し、バイオインフォマティクスを用いた網羅的解析により、ストレスが皮膚遺伝子に与える影響や、次世代スキンケア開発の分子基盤となるメカニズムの解明を進めました。加えて、心理的因子であるオキシトシンおよびコルチゾールが真皮におけるヒアルロン酸合成機構に及ぼす影響を特定するなど、心と肌の相関性に関する知見を一層深化させております。
また、サービス面の研究においては、フェイシャルケアが心身に及ぼすポジティブな効果について客観的検証を進め、当社技術の科学的根拠の強化を図りました。
製剤研究においては、当社のロングセラー製品である「フェイシャリスト トリートメント マセ」に採用されている「持続性液晶構造」に着目し、その機能解明を進めました。その結果、「皮膚の健康」「皮膚の清潔」「触覚的心地よさ」という3要素の観点から、皮膚機能と心理的満足の両面に働きかける新たなスキンケアアプローチの可能性が示唆されました。
これらの研究成果は、当社の製品開発における機能的価値の裏付けとなるとともに、顧客一人ひとりの「肌と心」に寄り添う独自のビューティプログラムの進化に直結するものです。今後も、研究開発を起点とした高付加価値な製品・サービスを提供することで、ブランド価値のさらなる向上と持続的な成長を実現してまいります。
<2026年3月期の主な研究発表>
幸福感とストレスが皮膚遺伝子に与える影響:オキシトシンおよびコルチゾールの作用解析
(2025年7月 第50回日本香粧品学会)
表皮細胞エクソソーム内miRNAのストレスホルモン応答解析は次世代スキンケア開発の分子基盤を提供する
(2025年7月 第50回日本香粧品学会)
オキシトシンおよびコルチゾールによるヒアルロン酸合成機構の解析
(2025年11月 第98回日本生化学会)
頭頸部への経穴刺激を含むフェイシャルケアが心身に与える効果
(2025年12月 第29回日本統合医療学会)
触覚コミュニケーションを活かした液晶型クリーム製剤による心身健康支援
(2026年3月 第27回日本健康支援学会)
重点課題②「サロン価値向上」
ブランディング戦略に基づいた、店舗の改装や移設を実施したほか、店舗スタッフの専門知識、施術技術、および接客スキルの向上を目的とした教育研修を強化いたしました。人材基盤を強固なものとして、サロンでのアフターサービスを「パーソナライズされた美容体験」へと深化させることで、顧客満足度の向上に努めました。
新たな顧客の開拓に関しましては、ブランディング戦略に基づいたイベント出展ブースのデザイン刷新により視認性を高めるとともに、出展ごとの費用対効果を検証し、ターゲット層が集まる会場を選定し、質の高い顧客獲得を狙う等、効率的なチャネルでの集客に注力いたしました。これらの取り組みが奏功し、新規顧客の来店数は前年同期比109.4%と前連結会計年度に引き続き当連結会計年度も堅調に推移いたしました。加えて、質の高い顧客獲得が進んだことと、教育研修の強化による店舗スタッフの接客の質の向上により、新規顧客の購入単価は前年同期比104.0%へと向上し、これに伴い新規顧客による売上高は前年同期比119.6%と大きく増加いたしました。
ロイヤル顧客の醸成に関しましては、2024年3月期に開設した「ロイヤルカスタマー専用デスク」において、お客様の声を直接収集し、サービス改善へフィードバックする体制を構築しております。本社とお客様との直接的な接点を持つことで、顧客ロイヤルティの向上を図ってまいりました。サロンにおいても、ロイヤル顧客へ日頃の感謝を伝える「ロイヤルデー」を継続的に開催し、特別感のある体験価値を提供しております。これら継続的な施策の結果、当連結会計年度におけるロイヤルカスタマー数は、目標として定めていた12,000人を突破し、現在も順調に増加傾向にあります。
しかしながら、店舗スタッフにおける採用難等も影響し、直営店舗での接客数が横ばい傾向にあるため、既存顧客の継続数※は前年同期比100.5%と微増となり、継続顧客への売上高は前年同期比3.4%増となりました。
重点課題③「新しい価値の創造」
持続的な成長基盤の構築に向け、主力事業である直営店舗事業以外の領域における「新しい価値の創造」を推進し、「ヘア事業の拡大」「海外販路の拡大」「子会社の再拡大」に注力いたしました。
ヘア事業に関しましては、ヘアサロン「neaf」での評価制度改定に伴う意識改革が定着し、生産性の向上により売上高・利益ともに堅調に推移いたしました。特に、フェイシャリストサロンとの併設店舗であるneaf蒲田店では、相互送客モデルが軌道に乗ったことや、常時1名のスタイリストで運営していることでのマンツーマンの個室接客が功を奏し、neaf六本木店、neaf恵比寿店を上回る顧客単価となりました。また、neaf六本木店では世界に誇る日本の美容師、美容室を表彰する『KAMI CHARISMA 2026 アワード』にて、カミカリスマサロン トリートメント&スパ部門を受賞いたしました。
海外販路の拡大に関しましては、中国偏重の販路拡大を見直し、アジア圏や欧州等の企業との接点拡大を進めてまいりました。展示会等での接点からの着実な販路拡大に動いていたものの、世界情勢の緊迫化により、出荷に遅れが生じる等のさまざまな問題もあり、不安定な状況となりました。
子会社の再拡大に関しましては、売上高向上及び利益率の改善が一段と進捗しました。利益率の高い製品の販売に注力し、BtoB仕入プラットフォームの活用による新販路拡大や、直取引の販路の拡大を推進したことにより、売上高は前年同期比120.1%となりました。
※継続数
:1ヵ月に1回以上来店のあるお客様ののべ人数