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2023年3月期 業績のご報告(2023年3月31日時点)

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における日本国内の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を繰り返したものの、感染拡大の慢性化に対し徐々に適応してきており、国内の人流はコロナ禍以前の状態へと回復しつつあります。また、海外においても「withコロナ」の動きが進み、海外旅行客等が増加するなど、世界的にも人流は回復傾向にあります。しかしながら、世界的な情勢不安や、物価・エネルギー価格等の高騰、欧米での金融機関の破綻等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

  こうした経営環境の中、当社グループの主力事業である直営店舗事業は、対面・接触型のサービスという特性から、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動制限等の影響を大きく受け、不安定な状況が続きましたが、2020年からスタートした中期経営計画の3カ年目として、「顧客数拡大とお客様第一のサービス提供」「高機能製品の創出」「コスト合理化による財務基盤の強化」の3つの重点課題に引き続き取り組み、収益性・生産性の向上に努めてまいりました。また、顧客が感じる当社の付加価値をさらに高めるため、既存事業における新たな価値の創出に向け、組織のシームレス化及び機動力の強化を図っております。
  これらの活動により、直営店舗に関しては、前年同期と比べ新規来店数は123.4%、既存顧客の継続数※は98.5%となり、直営店舗における売上高は7,818,933千円となりました。

  この結果、当連結会計年度における連結売上高は8,525,428千円(前年同期比6.9%減)となり、利益面におきましては、営業損失は145,253千円(前年同期は営業利益193,706千円)、経常損失は127,071千円(前年同期は経常利益301,299千円)となり、また、六本木本社ビル建替えに伴う退店等の支払補償費や解体撤去費用を含む特別損失282,051千円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は421,768千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益44,872千円)となりました。


 当連結会計年度における当社グループの主な取り組みは以下の通りであります。


重点課題①「顧客数拡大とお客様第一のサービス提供」

  直営店舗では、新規顧客の拡大を最重要課題と捉え、施策を実施してまいりました。日本国内の人流が回復傾向にあったことの追い風を受け、サンプリングや肌チェックを通じたイベントでの新規顧客の集客数は前年同期比141.1%と大幅に増加いたしました。このような従前から実施している新規集客活動に加え、インフルエンサーマーケティング等のWEBを活用した集客や、製品をタッチポイントとした集客活動を強化した結果、新規売上高は前年同期比127.0%と大きく伸長いたしました。

  しかしながら、既存顧客の継続数※は、既存顧客の減少に対して新規顧客の流入がいまだ追いついておらず、前年同期比98.5%と前年を下回り、加えて、WEB等を活用した新規集客や、若年層への認知度向上施策により、20代や30代の流入が増加した影響を受け、顧客単価が低下した結果、既存顧客への売上高は前年同期比91.4%となりました。

  海外事業においては、主に中国において販売活動を強化してまいりました。6月には大手ECモール天猫(Tmall)に旗艦店を出店いたしました。加えて、9月には中国で会員制自社ECプラットフォームを展開するEC販売大手、ACCESSグループの関連会社である杭州創詩品牌管理有限公司(所在地:中華人民共和国浙江省杭州市)とパートナーシップを締結いたしました。当社のサロン発信化粧品というブランド力と、ACCESSグループの持つ販売網や中国での販売ノウハウを掛け合わせることで、中国での売上高拡大を見込めるものと考えております。  この結果、海外事業における売上高は前年同期比155.1%と伸長しております。


重点課題②「高機能製品の創出」

 研究開発活動においては、皮膚科学研究に基づいた独自原料開発やその有効性の解明、また、お客様がサロンで過ごす時間をより豊かなものにするため、当社サロン施術のエビデンスの収集等、外部研究機関との連携に加え、社内研究体制の強化により、製品・サービスの価値向上を図ってまいりました。

 サロン施術の効果の科学的解明から精神皮膚科学に着目し、当期はさらなる研究の深耕により、心理性ホルモンと肌に起こる様々な現象との関連性を解明いたしました。ストレスが引き起こす肌トラブルのケアとして開発した当社独自原料と、新たな研究成果を組み合わせて確立した技術を、サロン製品だけでなくOEM、ODM受託製品へと展開し、お客様の肌と心に寄り添う製品づくりを進めております。

<2023年3月期の主な研究発表>
   ①心理的ストレスがシミの形成に関与する可能性を確認。
    (2022年6月日本皮膚科学会)
   ②幸せホルモン「オキシトシン」とストレスホルモン「アドレナリン」が真皮線維芽細胞のヒアルロン酸産生へ影響を及ぼすことを発見。
    (2023年3月日本薬学会)


重点課題③「コスト合理化による財務基盤の強化」

 コスト合理化に加え、営業力の強化と本社組織のシームレス化を推進するため、川崎市に置いていたシーボン.パビリオン(メインオフィス)を国内法人へ譲渡し、本社機能を北青山に移転いたしました。シーボン.パビリオン(メインオフィス)の譲渡は、当該施設の維持に掛かっていた固定費が削減されるなど、財務基盤の強化に繋がっております。また、本社移転に伴う組織再編の結果、意思決定の迅速化や組織間の意思疎通の更なる強化が図られるなど、組織のシームレス化を推進いたしました。利便性の高い立地へ本社を移転することで、一般消費者とのリアルな接点を持つ機会が増え、情報収集を強化したことで、当社ブランドの発信機会やクオリティの向上に繋がり、営業力の強化が図られました。

 これらに加え、店舗家賃の減額や合理的な人員配置の実施等、全社的な固定費の削減により、当初目標を上回る合理化を達成いたしました。


  ※継続数
     :1ヵ月に1回以上来店のあるお客様ののべ人数