寒い時期ほど、肌のツヤや透明感に差がつく!
教えて!赤須先生〜冬の乾燥くすみ対策〜

普段と同じお手入れをしているのに、冬になるにつれて、肌の乾燥やくすみが気になるように・・・。肌が乾燥したりくすんだりする原因をはじめ、冬におすすめのスキンケア方法や日常生活で取り入れやすい対策を皮膚専門医の赤須先生に伺いました。


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Profile


赤須医院院長
赤須 玲子 先生

山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。
著書:「顔そりスキンケア」「2週間でつるつる美肌になる本」(マキノ出版)など。
○医学博士
○日本皮膚科学会専門医
○株式会社シーボン顧問皮膚科医

冬の乾燥くすみ〈肌で起こっていること〉 編
乾燥が秋のくすみを引きずらせ、
冬のくすみを引き寄せる。

Q 夏の終わりから寒い季節にかけて肌がくすんでしまう原因は?

夏に浴びた紫外線の影響で、肌のくすみが起こってしまうのです。夏の強い紫外線から肌を守るために、角層が厚くなり、メラニン色素が多く作られます。その結果、透明感がなくなり、黒ずんだ状態になってしまいます。

また、夏の間にたくさんかいた汗の影響で、あまり質のよくない水分を含んだ細胞が、ゴワゴワとした手触りの原因となります。秋が深まり乾燥が進むと、夏のくすみが続いてしまうので注意が必要です。

一方で、冬が近づくにつれて感じるくすみは、肌の水分不足が原因です。10月ごろから大気の乾燥の影響を受け、肌の細胞の水分量が減ってしまいます。その結果、目の周りや口元の乾燥が目立ち、シワが目立つようになるのです。いつものスキンケアをしていても乾燥を感じるのは、肌そのものの水分量が減っているからです。

Q 冬になると肌のターンオーバーはどうなる?くすみへの影響は?

肌の細胞は通常、1か月程度のサイクルで新しい細胞に生まれ変わります。このサイクルをターンオーバーと呼びますが、年齢とともに徐々に長くなっていきます。

実は冬になると、肌の代謝が落ちてターンオーバーのスピードも遅くなるのです。血流が悪くなり、肌に栄養が届きにくくなるためです。これは年齢に関係なく起こります。

秋口から顔全体が黒ずんで透明感がなくなるのは、気温の低下とともに肌の代謝が落ち、古い角質が肌に蓄積するからです。冬が近づくにつれ、肌のくすみや透明感の低下、ザラつき、血色の悪さ、疲れた印象など、肌の悩みが増えていきます。

一方、ターンオーバーが整っている肌は、冬になってもくすみが出にくく、透明感を保つことができます。肌の代謝を高め、ターンオーバーを整えることが、冬の肌づくりには大切だと言えますね。

冬の乾燥くすみ〈予防と解決のためのスキンケア〉 編
つっぱりやかゆみを感じたら、乾燥が進行しているサイン。
顔にも体にも角質&保湿ケアをしっかりと。

Q 特に冬に多い症状や、スキンケアのポイントは?

秋が深まり、大気の乾燥が進むと同時に、肌の乾燥も感じるようになりますね。顔だけでなく、全身、特に足のすねや脇腹などの乾燥やかゆみを訴える人が増えてきます。冬は暖房器具を使用することもあり、肌の乾燥はさらに加速していきがちです。そのため、全身の保湿ケアが必要になります。

顔では目元の乾燥や小じわ、唇のカサつきやヒリヒリを感じる方が増えます。普段から冬に向けて、保湿力の高い化粧品を取り入れましょう。全身は入浴後や就寝前にたっぷり保湿するのがおすすめです。睡眠中も肌から水分が奪われ続けているので、寝る前にクリームやパックでしっかり保湿しておくと、よいです。

肌の乾燥が初期の段階であれば、保湿クリームで十分対処できますが、体中にかゆみが出て爪で傷つけてしまうような状態になると、炎症を抑える薬が必要になることもあります。乾燥を感じる前から保湿を心がけることが、乾燥肌の予防につながります。少しのつっぱり感や、かゆみを見逃さず、早めの保湿ケアを心がけましょう。

Q 乾燥やくすみが気になる方におすすめの成分・施術・アイテムは?

乾燥肌には、ワセリンやヘパリン製剤、ウレパール、セラミド、スクワラン、オリーブ油やヒマシ油などの油脂系、オレイン酸などの脂肪酸、これらの保湿成分が有効です。ワセリンは薬局やドラッグストアでも手軽に入手できますが、少し硬くて伸ばしにくいこともあるため、温めてから使うのがおすすめです。柔らかいベビーワセリンなども使いやすくていいですね。

皮膚科ではヘパリン製剤のヒルドイドを処方することも多いです。施術としては、古い角質を除去し、ターンオーバーを整えるケミカルピーリングがおすすめです。古い角質を取り除くことで、新しい細胞が生まれ変わりやすくなり、くすみがとれた感じが得られやすいと思います。

セルフケアとしては、AHA入りの化粧品を使って古い角質を除去するのも有効です。洗顔後に蒸しタオルを使ったり、スチームをあてた後に保湿パックをするのもいいですね。顔のポイント押しやマッサージで血行を促進するのもおすすめです。

冬の乾燥くすみ〈日常生活で予防・対策できること〉 編
入浴で血行を促し、室内の湿度を保ち、
肌の乾燥を加速させないように。

Q 生活習慣で見直すべきポイントは?

ゆっくりバスタブに浸かることで血行がよくなり、ターンオーバーを整えることができるので、夜のお風呂をおすすめします。朝晩2回のシャワーをする方は、洗顔料やボディソープの使いすぎで、肌に必要な皮脂まで取りすぎないよう注意しましょう。

また、浴室と脱衣所の湿度差が大きいと乾燥しやすくなるので気を付けてください。お風呂あがりにはしっかり保湿するのを忘れずに。リビングや寝室に加湿器を置いたり、濡れたタオルを部屋に干すのもおすすめです。オフィスなど加湿器を置きにくい場所では、化粧水をスプレー容器に入れて、加湿するのもいいですね。

もこもことした毛足の長い冬服は、チクチクと肌を刺激して、かゆみの原因にもなります。乾燥で敏感になった肌には、通気性のよい素材を選んだり、厚着は避けたほうがいいでしょう。電気毛布の使用で肌の乾燥が進むこともあるので注意が必要ですね。

Q 冬におすすめの食事は?

体を温める効果のある温野菜やしょうが湯などを、普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょう。生野菜は手軽に用意できますが、温かい野菜を食べて体を冷やさないよう、ひと手間かけるのがおすすめです。

最後に、赤須先生からのメッセージ

ひと夏を過ごした秋の肌は、古い角質がたまってくすんで見えがちです。冬は冷えや乾燥で血行が滞り、くすみやすくなります。でも、くすみはすぐに対策できる肌トラブルです。保湿をしっかり行い、ピーリングで古い角質を取り除いて、肌のターンオーバーを整えることが大切です。

体を温めてマッサージをするだけでも、肌本来の血色や透明感が期待できます。くすみは、悩むよりもケアを実践するほうが簡単なんです。ぜひ、おすすめのケア方法を取り入れて、冬の乾燥やくすみを防いでくださいね。