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赤須医院院長
赤須 玲子 先生
山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。
著書:「顔そりスキンケア」「2週間でつるつる美肌になる本」(マキノ出版)など。
○医学博士
○日本皮膚科学会専門医
○株式会社シーボン顧問皮膚科医
肝斑ができる「原因・メカニズム」 編
ホルモンバランスが変わる30〜40代、
左右対称に薄茶色のシミが出たら肝斑です。
Q 肝斑の特徴について教えてください
肝斑とは、両方の頬の高い位置に左右対称性にできる、三角形の茶色の淡いシミです。30~40歳の女性にできやすく、ホルモンバランスの乱れや紫外線が原因といわれています。
季節によって出たり引いたりするのが特徴で、3月から9月頃までは濃くなるのが一般的です。また、一日のうちでも濃く目立つ時間帯と気にならないくらい目立たないことがあるのも特徴で、完全に消えるのに数十年かかることも珍しくありません。
肝斑は悪化すると、額や上まぶた、口周りまで広がることがあり、正常の肌色との差がくっきり出ることが特徴です。
Q 普通のシミとはどこが違うの?
ホルモンバランスの乱れが原因の一つであることから、性成熟期の年齢に限って見られます。10~20代の方や60歳以上の方には見られることはあまりないでしょう。そのほかにも、ストレスや睡眠不足、紫外線や洗顔時・化粧時の摩擦、アルコール摂取なども原因だと考えられています。
肝斑は他のシミ、たとえば老人性色素斑と違って、紫外線の強い夏の時期には色が目立ち、紫外線の弱い冬の時期には薄くなるという特徴があります。また、肝斑の治療は難しく、再発しやすいことも特徴の一つです。
肝斑ができたときに「気をつけること」 編
摩擦は厳禁!紫外線対策の徹底を。
スキンケアではビタミンC誘導体をプラスして。
Q 肝斑ができたときに注意することは?
摩擦で肝斑は悪化するので、洗顔時に強くこする、ナイロンタオルなどを使用しての洗顔はふさわしくありません。泡を手で包み込むように優しく洗顔するようにしましょう。また、化粧する際にも、コットンで何度もこするのは NGです。
ビタミンA誘導体であるレチノール配合の化粧品を使用する際は、紫外線に当たると肝斑が悪化することがあるので注意が必要です。
Q 効果的な成分や化粧品はありますか?
ビタミンC誘導体を配合した化粧品は、肝斑に効果を示します。しかし、ビタミンA誘導体の成分で、特に医療機関での使用が許可されている刺激の強いトレチノインは肝斑が悪化することがあります。ほかにも、保湿剤や血行促進剤(ヘパリン製剤入り化粧品)は、悪化する方がいらっしゃるので使用する場合は注意が必要です。
また、肝斑は紫外線で悪化することがわかっています。通常、3月〜9月の紫外線の強い時期に悪化し、10月以降はだんだん薄くなってきます。夏の時期は日やけ止めもSPFやPAの数値が高めのものを使用し、帽子やサングラス、日傘などの着用をおすすめします。室内にも紫外線は届くので、外出しないときも日やけ止めを塗る習慣をつけておきましょう。
肝斑の悪化を防ぐための「内服薬・治療」 編
ビタミンCとビタミンE、トラネキサム酸の同時摂取や、
肝斑のための内服薬・美容医療も。
Q 内服用の成分の摂取方法は?
内服するものとしては、ビタミンC、ビタミンE、トラネキサム酸の3種類を併用して摂取するのが有効です。それぞれ単独の摂取でも有効ですが、肝斑の場合は3種類を同時に摂ることをおすすめします。これまで摂取していなかった方は、効果を感じることが多いようです。
ただし、トラネキサム酸は血栓ができやすいなどの副作用がありますので、長期間の摂取には注意するようにしてください。
Q 肝斑には、どのような治療ができる?
市販の内服薬もありますが、3か月使って効果を感じないようであれば、別の方法で治療する必要があります。
肝斑は、はじめは目の下の狭い範囲ですが、放置すると次第に拡大してきます。悪化しないうちに、早めに医療機関へ受診することをおすすめします。そのときの症状にあわせたケミカルピーリングやレーザー治療を行うことも可能です。
最後に、赤須先生からのメッセージ
肝斑の出はじめは気づきにくい方もいらっしゃいます。また、気づいたときにはくっきりと両頬に出てしまっていた、広がりはじめていたという方も。少しでも気になったら、皮膚科医に早めに相談して肝斑かシミか診てもらうのがいいでしょう。
30代くらいからは肌に年齢のサインが出やすくなるので、些細なことでも相談できるかかりつけの皮膚科医がいると安心ですよね。肝斑や肌の症状のことだけでなく、生活習慣や精神的なことなど役立つアドバイスを受けられると思います。