夏になると、毛穴が目立つのはなぜ?
教えて!赤須先生〜夏の毛穴対策〜

毛穴が目立ってしまう要因や正しい毛穴ケアの方法など、この時期多くの女性を悩ませる毛穴について、皮膚科医の赤須先生に教えていただきました。


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Profile


赤須医院院長
赤須 玲子 先生

山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。
確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。
専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。

著書:「顔そりスキンケア」「2週間でつるつる美肌になる本」(マキノ出版)など。

○医学博士
○日本皮膚科学会専門医
○株式会社シーボン顧問皮膚科医

毛穴の基礎知識 編
毛穴の役割と夏に毛穴が目立つ理由

Q.そもそも毛穴って、どうして必要なの?

毛穴は皮脂の大切な通り道です。「皮脂腺」から分泌された皮脂は、毛穴を通って皮膚の表面に送り出され、皮膚表面を潤します。

また、顔の毛穴の奥深くには、顔ダニとよばれる微生物が生息していて、作られた皮脂を食べます。皮脂が増えすぎると、顔ダニも増殖し、ニキビや皮膚トラブルの原因になるので注意が必要です。

Q.夏に毛穴が目立つ、その理由って?

とくに夏は皮脂腺の働きが活発になるため、そこから分泌される皮脂の量も増えてきます。また紫外線を浴びることでも皮脂量が増えますが、皮膚表面は乾燥してきます。皮脂は毛穴を伝って皮膚の外に排出されるのですが、皮脂量が増えると毛穴に詰まって、毛穴自体を押し広げてしまいます。すると毛穴は開いて目立ちやすくなるのです。

また、詰まった皮脂が次第に酸化し、黒く変色すると毛穴の黒ずみにつながります。毛穴が目立っているところが多ければ多いほど、肌はきれいに見えません。肌がきれいに見える条件は、キメ(皮膚の溝でできた多角形の面)が整っていることです。毛穴はキメが交叉する場所に存在するため、毛穴が大きく開いていたり窪んでいたりするとキメが崩れて肌が汚く見えてしまいます。

肌タイプ見極め 編
毛穴ケアは肌タイプの見極めが大事!

Q.そもそも、毛穴づまりのサインって?

お顔を洗ったとき、あるいは化粧したときに、手で肌を触って何かざらつきを感じたら、毛穴が詰まり掛けているサインです。いつもより丁寧にクレンジングや洗顔をしてみてください。

Q.自分の肌タイプはどうやって見分けるの?

実は毛穴が詰まりやすいタイプの人とそうじゃないタイプの人がいます。毛穴の数とサイズというのは遺伝します。家族みんな毛穴が目立っているという方は、ちょっと注意が必要です。早めにケアを始められたほうが良いでしょう。

肌タイプを見極めるのに参考になる方法をひとつ紹介しましょう。

洗顔後すぐの肌に乾燥やつっぱり感がなければ、普通肌です。
乾燥やつっぱり感があれば、乾燥肌か、混合肌です。

洗顔10分後くらいから、皮脂がじわじわ出てきますが、
鏡を見て、肌にテカリがあるようでしたら、脂性肌か混合肌です。
テカリがなければ普通肌か乾燥肌です。

もうひとつ、皮脂の粘度を確認してみてください。
皮脂にもべたべたした粘度が高いタイプと、サラサラした粘度が低いタイプがあるのです。粘度が高いほうが、毛穴が大きく目立ちやすくなるので注意が必要です。

皮脂が詰まっている部分の周りを押すと白い皮脂が出てきます。
軽い力ですっと出るようでしたら粘度は低く、力いっぱい押さないと出てこないようであれば皮脂の粘度が高いです。
その皮脂を綿棒に擦りつけると黄色くなるようでしたら粘度が高いと思ってください。
あと粘度が高いとニオイがする場合もあります。

皮脂を角栓にしない、毛穴を目立たせないためには、ご自身の肌タイプ、皮脂の粘度を知って、それに合ったケアをすることが大切です。

ケアをサボってしまって、毛穴の詰まりを放置したまま、1年・2年、さらには10年、15年すると、皮脂が角栓となって毛穴自体を押し広げるので、毛穴のサイズが大きいままの状態が続いていることに。さらに角質が出にくくなると、なんとか出したとしても、ぽっかり大きな穴が開いている状態になり、毛穴のサイズが戻りにくくなります。するとそこに角質が溜まりやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。

毛穴のお手入れ方法 ホームケア編
自宅でできるおすすめの毛穴対策!

Q.毛穴対策って何から始めたら良いでしょうか。

まずは紫外線に注意して生活し、帰宅後にはすぐに洗顔をしてください。メイクや皮脂汚れを落とさずに寝るのはNGです!

洗顔は、顔のなかでも皮脂腺が多く、皮脂が出やすいTゾーンを丁寧に洗うようにしてください。
皮脂は作られたばかりのころは、マッサージしながら洗顔することで簡単に排出されます。クレンジングクリーム(オイルでも可)でしっかり洗ってから、洗顔料を泡立ててダブル洗顔をするのがおすすめです。ただし、皮脂が古くなると簡単に出なくなりますので、酸(ピーリング作用のあるもの)で溶かしてから押し出すのが良いです。

Q.食生活で気をつけるべきことはありますか?

食生活では、皮脂の過剰な分泌を抑えるためにも、ビタミンACEを積極的に摂る必要があります。さらに、タンパク質もコラーゲンの原料になるので、たるみ毛穴防止のためにも一緒に摂ることをおすすめします。

また皮脂の分泌には男性ホルモンが関与しています。女性も男性並みに仕事をするようになったことからストレスを感じることも多くなったと思われます。ストレスをためた日々を送っていると男性ホルモンが増えて皮脂分泌が活発になり、毛穴が開いてしまいます。普段からストレスを上手に発散することも大事ですね。

Q.毛穴の詰まりには、どんな化粧品が良い?

夏の時期はとくに、皮脂に効果のある成分を選ぶのがおすすめです。ビタミンC誘導体やビタミンA誘導体の化粧品アイテムが有効です。AHA入りの化粧品には、皮脂を溶かす作用があるので、夏の時期は積極的に使用してみてください。

また、すでにできてしまった毛穴の凹凸(クレーター)は、コロコロと転がすような機器で皮膚表面をなめらかにすると良いでしょう。もし美顔器をお持ちであれば、イオン導入や顔の筋肉をマッサージするEMSなどの機能を使ってみるのもおすすめです。

Q.反対にNGのものはありますか?

最近はクレンジングと洗顔が同時にできるものもありますが、脱脂力が強すぎるものはあまりおすすめできません。とくに乾燥肌の方が使うと、必要な皮脂まで取りすぎてしまうので、より乾燥を助長させることになってしまいます。

また、保湿力の高い保湿剤は、油分を多く含んでいるので、かえって毛穴に詰まる原因になります。顔がオイリーだと感じるときは洗顔後の保湿は、サラサラした軽めの化粧水がおすすめです。それだけでは乾燥を感じる場合には、しっとりタイプの化粧水をたすか、美容液を追加するのが良いでしょう。

夏は「冷やす効果のあるアイテム」も魅力的に感じるかもしれませんが、一時的に毛穴を引き締めたとしても効果はあまり続きません。

毛穴は皮膚がオイリーでも乾燥していても目立ちます。自分の肌に合ったスキンケアを心がけてください。

毛穴のお手入れ方法 サロンケア 編
サロンや美容皮膚科を利用する場合

Q.サロンや美容皮膚科のどのようなケアがおすすめですか?

夏、紫外線ダメージを受けて、毛穴を支えている組織(コラーゲン)が硬くなると毛穴が目立ってきます。フェイシャルケアで皮膚をやわらかくすると毛穴は目立ちにくくなるのです。

皮膚をやわらかくしてから、皮脂を吸引すると毛穴がきれいになって、だんだんと小さくなっていきます。美容皮膚科の観点から、ケミカルピーリングは酸で皮脂を溶かすので、効果的です。

また、毛穴の黒ずみが毛の詰まりである場合があります。とくに鼻の黒ずみは、皮脂の汚れだけでなく、毛であることが多いです。レーザー脱毛で毛を処理することで、毛が除去され毛穴が縮小してきます。医療機関でおこなうレーザー脱毛はこのような場合におすすめです。

最後に、赤須先生からのメッセージ

お手入れ次第で、将来の毛穴は変わります!

皮脂対策・毛穴ケアをきちんと行えば、皮膚のターンオーバーを考えると2週間程度で、毛穴がきれいになってきます。年齢によっては1ヶ月から2ヶ月後に変化を感じることもあるでしょう。

もし何もしなければ、毛穴の開きは一層ひどくなります。皮脂がさらに多く溜まると皮膚の下に嚢腫(のうしゅ)という袋ができてしまい、1cmくらいまで大きくなることも。すると手術でないと取り出せなくなってしまいます。また、毛穴のケアを怠ると20~30年経って「たるみ毛穴」の原因にも。

ぜひ、夏はもちろん、年間を通して皮脂や毛穴を意識したスキンケアをしてみてください。将来の肌が変わってくるはずです。