季節の変わり目になると、肌が不安定になるのはなぜ?
教えて!赤須先生〜春から初夏のゆらぎ肌対策〜

春になるとカサついたりゴワついたり…。肌の調子が悪くなる理由やおすすめのスキンケアの方法、さらに油断すると夏まで長引いてしまう「ゆらぎ肌」について、皮膚科医の赤須先生に教えていただきました。


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Profile


赤須医院院長
赤須 玲子 先生

山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。
著書:「顔そりスキンケア」「2週間でつるつる美肌になる本」(マキノ出版)など。
○医学博士
○日本皮膚科学会専門医
○株式会社シーボン顧問皮膚科医

春のゆらぎ肌 基礎知識 編
春のゆらぎ肌の原因と具体的な症状

Q 春のゆらぎ肌ってどんな肌?

冬の間、大気の乾燥から肌を守るために保湿重視のスキンケアを行われてきたのではないでしょうか。ようやく暖かくなって、乾燥も和らいできたはずなのに、2月下旬頃から肌のゴワつき、発赤、痒みなどの症状があらわれてきたという方が増えています。このように肌が敏感で不安定な状態を「ゆらぎ肌」と呼んでいます。

Q ゆらぎ肌の原因は?

気温が急激に上昇し、皮脂の分泌が増したことが原因として挙げられます。皮脂が過剰に分泌されると、テカリやニキビがあらわれやすくなります。そこに花粉やほこり、黄砂が肌に付着してゴワゴワしてきたり痒みや肌荒れなどを招くことも。さらに紫外線量も一気に高まることで、肌のほてりや日やけ、痛みなどを生じる肌トラブルに繋がります。

また、春は生活や職場環境、人間関係の変化などが起こりやすい時季です。対応できないとホルモンバランスの崩れやストレスが溜まり、ニキビや肌荒れを引き起こしてしまうこともあるでしょう。

Q ゆらぎ肌になりやすい肌質はあるの?

どんな肌質の方でもゆらぎ肌になる可能性があります。

乾燥肌の方は皮膚のバリア機能が弱っているのでさらに状態が悪くなることも。脂性肌の方は気温上昇や紫外線の影響で皮脂が出やすくなり、過剰に分泌された皮脂が酸化することで肌のコンディションが不安定に。乾燥しやすい部分と皮脂が出やすい部分のある混合肌の方も同様です。

また、もともと肌の弱い方やアトピー体質の方も、この時季は肌がゆらぎやすくなります。

Q春のゆらぎ肌のポイントを教えてください。

春のゆらぎ肌がそのほかの季節と異なるのは、花粉症と強く関連している点です。
夏は強い紫外線と汗、皮脂分泌との関係が強く、秋はブタクサやイネなどの植物の影響、冬は乾燥による肌のかさつきや痒み、ひび割れなどが起こります。

最近では季節の変わり目がわかりにくくなり、春や秋がずいぶんと短くなっているので、春のゆらぎ肌でも夏の要因と混ざり合っていることもあります。

春のゆらぎ肌 お手入れ方法 編
まずは、日やけ止めの習慣づけと即洗顔!

Q ゆらぎ肌に日やけ止め対策、どんな効果があるの?

対策としては外出時の日やけ止めの使用、紫外線を予防するための日傘や衣類を工夫すると良いでしょう。

紫外線は2月下旬頃から急激に強くなってくるので、その影響で肌表面のバリア機能が低下しやすくなるうえに肌がゆらいでいる状態だと、さらにさまざまなトラブルを引き起こしやすくなります。

日やけをしてヒリヒリしたり、あるいはシミや肝斑が濃くなったりと、どんな肌状態であろうとも紫外線の影響を大きく受けるので、日やけ止めは使用することをおすすめします。特に春以降はSPF値の高いもの(春先の外出時の目安:SPF30、PA+++以上)を選んでいただくと良いと思います。

Q ゆらぎ肌の洗顔時の注意点は?

まず帰宅時にほこりや花粉をはらった後、すぐに洗顔を行ってください。洗顔料は刺激の少ないアミノ酸系の泡立ちの良いものがおすすめ。泡で肌を包み込むように優しく洗顔してください。

洗顔料でもジェルタイプやクリームタイプなどさまざまな種類がありますが、こすってしまうと肌を傷めてしまいます。手が皮膚に触らないくらいしっかりした弾力の泡で洗うのがおすすめです。

Q おすすめのスキンケアは?

ゆらぎ肌のときは、炎症を起こしやすい状態になっています。不安定な状態のときには刺激の少ないものや、抗炎症作用のある成分が含まれているものでお手入れするのもおすすめです。

洗顔後は化粧水でたっぷり水分を補い、肌をうるおしてください。
2週間ほど経過しても改善しないようなら皮膚科の受診をおすすめします。

春のゆらぎ肌 日常生活の心がけ 編
タンパク質中心の食事と、早めの就寝を!

Q 生活面では、どんなことに気をつければいい?

食事はビタミン、ミネラルを多く摂り、バランスの良い食生活を心がけてください。肌をつくるという意味でも、動物性・植物性のタンパク質を豊富に含む食事を中心に、炭水化物や糖質は控えめにしましょう。食事を摂る時間も規則正しく、遅くなりすぎないようにしてください。

お風呂は暖かくなる4月ぐらいから、シャワーに切り替える方も多くなってくると思います。それでも週に数回は湯船に浸かるようにしましょう。疲れを取るリフレッシュタイムとして、動画鑑賞やお気に入りの音楽などを楽しみながら入るのも良いと思います。

入浴後は、体温が下がりはじめ副交感神経が優位になります。その時間帯に肌は修復されるので、早めに就寝し、しっかり睡眠をとるように生活リズムを整えてください。

春のゆらぎ肌 予防ケア 編
冬から春へ、引き算のスキンケアを!

Q 春のゆらぎ肌にならないためには?

春になったからといって、急に春夏用の化粧品に変えないことです。冬用のフルラインアイテムを少しずつ減らしていく「引き算スキンケア」を試してみるものおすすめです。

スキンケアの鉄則は、肌に浸透しやすい液体のものから徐々に固形のものをつけるのが一般的です。化粧水→美容液→乳液→クリームの順につけていきます。

冬の間はフルラインで使うことが多いと思いますが、気温が上がってくる春先になったら、まずはクリームから量を減らしてみてください。それでもまだ重たく感じたら乳液を減らしてみるなど、肌の様子を見ながらちょうど良い量に調整してみてください。

Q これは絶対にしてはダメ!ということはある?

クレンジングしないで寝てしまうのはNGです。基礎化粧品をつけただけでも、そこにホコリなどが付着するので落としたほうが良いでしょう。メイクをばっちりしていて、落とさずにそのまま寝てしまうのはもってのほかです。

ファンデーションや口紅の顔料が肌につくことによって、油分や皮脂が酸化して翌朝肌の調子が明らかに悪いのがわかります。メイクを落とさずに寝てしまったとき、ニキビができることがありますよね。ニキビは毛穴の感染症で、一度できると治るまでに時間もかかってしまいます。

ちょっと気になるコラム
春のゆらぎ肌を長引かせない秘訣

春のゆらぎ肌を初夏まで持ち越してしまうと、紫外線も強くなり、汗もかきやすくなって肌にさらに負担がかかる状況になります。また女性の場合は年齢的なものやストレスでホルモンバランスを崩してしまうと、ゆらぎ肌が長引く可能性もあります。

外出するときは日やけ止めをつけるのはもちろん、さらに日傘をさす、帽子かぶるのも効果的です。汗をかいたらハンカチやタオルですぐに拭うようにしましょう。

外にいる時間が長いときや、外出頻度が多い仕事をしている場合などは、携帯用のスプレーを活用するのもおすすめです。スプレー対応の日やけ止めや乾燥予防の化粧水を入れて持ち歩き、こまめにケアするようにしてください。

最後に、赤須先生からのメッセージ

春先から夏にかけて、いちばん肌がゆらぎやすいときです。少しでも違和感があるなら、早めの対策を心がけてください。

対策といっても簡単にはいきません。スキンケアの厚着をやめる、紫外線対策、汗対策、皮脂対策・・・。ほかにも普段の生活を規則正しくするなど、食事や入浴、睡眠など多方面にわたるケアが必要になってきます。

それでも、怠らずにきちんとケアすればゆらぎ肌は安定し、次の秋冬の肌もゆらぐことなく健やかな状態が続くでしょう。肌はきちんとお手入れすれば、裏切ることなく応えてくれますよ。