もうこれ以上、シミに悩みたくないから・・・ 教えて!赤須先生〜夏に増えるシミ対策〜

紫外線が強くなる5月から8月にかけて、「夏に増えるシミ」を心配する方が増えてきます。シミができる仕組みから、基本の紫外線対策・シミ対策、有効なスキンケア成分、シミをつくらせない肌づくりなど、皮膚専門医の赤須先生に教えていただきました。


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Profile


赤須医院院長
赤須 玲子 先生

山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。
著書:「顔そりスキンケア」「2週間でつるつる美肌になる本」(マキノ出版)など。
○医学博士
○日本皮膚科学会専門医
○株式会社シーボン顧問皮膚科医

シミができる仕組み 編
シミは、大人の肌に起きる「色素細胞の誤作動」です。

Q 子どもにはシミがなく、大人にはシミができる理由は?

紫外線を浴びると皮膚が黒くなるのは、大事な表皮細胞を守るためにメラニン色素を増やして紫外線を吸収しようとする肌の防衛反応です。メラニン色素をつくるのは、表皮の基底層というところにある色素細胞ですが、人によってメラニン色素をつくる量に差があります。日やけしにくい人がいる一方で、日やけした自覚がないのにひと夏終わると真っ黒になっている人がいるのは、つくられるメラニン量が異なるからです。

小学生のころ夏休みに日やけしても、1か月もすればもとの肌の色に戻った経験をしたことがあるのではないでしょうか。しかし、大人になってから日やけすると、シミやホクロが増えてしまいます。それは、成人を過ぎてから強い紫外線を一度でも浴びた皮膚は、その後も色素細胞が誤作動を起こし、メラニン色素をつくり続けてしまうからなのです。つまり、それがシミになるというわけです。

できてしまったシミ対策 編
まずは、冷やして保湿。さらに、メラニン色素を排出。

Q シミのできはじめの正しい対策・間違った対策とは?

日やけした場合の正しい対策として、まずほてりを鎮めるために冷やすことが大事です。日やけをすると肌は乾燥に傾くのでしっかり保湿してください。もし、火傷に近い日やけであれば、皮膚科を受診した方がよいでしょう。ビタミンCを多く摂取して、メラニン色素を体外に排除するように心がけてください。これらの最初の処置をしっかりしておくとシミを防ぐことにつながります。

間違えた対策として以前クリニックにいらした方の例を挙げると、顔にできてしまったシミを目立たなくするためにさらに日やけをして皮膚を黒くしようとした患者様がいらっしゃいました。当然のことながら、日やけが治まったあと、シミはさらに濃くなりました。また、シミ治療にレーザー照射を検討されている方は実施する季節やシミの状態などで逆効果となってしまうことがあるため、皮膚科医に相談して行うようにしましょう。

Q シミを定着させないための有効な成分は?

シミを定着させないためには、メラニン色素を体外に排出することが大事です。ピーリング作用のある化粧品や美容皮膚科的治療は有効です。また、メラニン色素の生成を抑える成分(ハイドロキノン、ビタミンC誘導体、アルブチン、コウジ酸、トラネキサム酸など)を含有した化粧品や医薬品がおすすめです。肌のターンオーバーの周期が約1か月であることを考えると、肌のケアは最低でも1か月間は継続してください。

Q できてしまったシミに有効なお手入れや治療は?

肌の代謝を高めるためのエステも有効です。ただし、肌を強い力で擦ったり、炎症のある場所を触ったりするのは肌トラブルにつながるので注意が必要です。知識と経験のあるエステティシャンにお手入れをしてもらうのがよいでしょう。

美容皮膚科的な治療としては、ケミカルピーリングでメラニンを外に排出する処置を優先的に行います。年季の入ったシミであれば、レーザー治療が有効ですが、シミの種類やできている場所、濃さ、その方の肌タイプによって選択するレーザーの種類が異なります。数回の照射が必要なことが多いです。また、レーザーを紫外線の強い時期に照射するのはおすすめできません。照射部位に紫外線が当たると、かえってシミが濃くなる可能性があるので紫外線の影響が弱まる11月から2月がおすすめです。

シミをつくらせない予防 編
ビタミンCの摂取と肌の代謝アップ。そして、ぬかりのない紫外線対策を。

Q シミができにくい肌にするためには?

日頃からビタミンCをたくさん摂取していただくことが大事です。人は体内でビタミンCをつくることができないため、外からの摂取が必須です。健康維持のために成人が1日に必要なビタミンCの摂取量の目安は100㎎、美容効果を求める方は1日1,000mg程度といわれています。また、タバコを1本吸うとビタミンCが約250mg破壊されるといわれています。

肌の新陳代謝を整えて、メラニンの排出を促すことも大切です。炭水化物を控えめにして、タンパク質やビタミンA(βカロチン)やミネラル多めのバランスのよい食事を心がけてみてください。タンパク質は動物性、植物性を均等に摂ることをおすすめします。また適度な運動は、腸の動きを活発にするので、肌の代謝を整えてくれます。逆に冷たい飲み物は腸の動きを悪くするのでできる限り控えましょう。

また、シミの種類に肝斑というものがありますが、左右均等にできるシミで、精神的なストレスで濃くなることが知られています。ホルモンのバランスが崩れることでできやすくなりますが、睡眠不足も悪化する要素の一つなので、ストレスを回避する生活習慣を心がけましょう。

Q 夏のお出かけで心がけることは?

外出時には日やけ止めを忘れないようにつけましょう。日常の紫外線であれば、SPF30前後のもので大丈夫です。日傘や帽子、サングラス、肌の露出の控えめな服装が理想です。アスファルトの道は紫外線が反射しやすいので、木陰を歩くようにしてください。

天気のよい日に一日中紫外線を浴びる場合には、SPF50以上の日やけ止めを1時間半毎に塗り直すことをおすすめします。髪や頭皮も日やけしますので、帽子や日傘で対策をしたり、髪に日やけ止めのスプレーを吹きかけたりしてください。忘れがちな唇も日やけすると、乾燥してシミができることがあるので、日やけ止めやリップクリーム、口紅で保護しましょう。手の甲にできてしまったシミはレーザーでも取りにくいので、手袋などで日やけしないように予防しましょう。

Q うっかり日やけしてしまった場合は?

何も対策をせずに長時間紫外線を浴び続けてしまった場合には、火傷を起こす危険性がありますので冷却が必要です。冷たい水ないし、保冷剤でしばらく冷やすようにしてください。

また、肌の乾燥を防ぐための化粧水や保湿剤をたっぷり肌に与えてください。場合によっては皮膚科を受診してステロイド入り軟膏を処方してもらい、炎症を抑える方がよい場合もあります。

最後に、赤須先生からのメッセージ

シミ対策はなによりも予防が一番です。まずは、「日やけ止めをつけること、塗り直すこと、紫外線を浴びないこと」です。

いったんシミができてしまうと集中ケアをしたり、メイクで隠したり、レーザーで取ったりと時間もお金もかかります。また、紫外線はシミやホクロの原因になるだけでなく、長年浴び続けることで良性の腫瘍や皮膚がんになるリスクも。

「少しの時間だし、曇りの日だから」と油断することなく、身体の内側から外側までしっかり対策することをおすすめします。