目次
赤須医院院長
赤須 玲子 先生
山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。
著書:「顔そりスキンケア」「2週間でつるつる美肌になる本」(マキノ出版)など。
○医学博士
○日本皮膚科学会専門医
○株式会社シーボン顧問皮膚科医
光老化の基礎知識 編① 〈光老化とは?〉
年齢による老化に上乗せされる、
紫外線などの“光”による老化が、「光老化」です。
Q そもそも光老化とは?普通の老化と何がちがうの?
光老化とは、紫外線や近赤外線を長期間浴び続けることにより、肌内部で活性酸素が発生し、そのダメージが蓄積されて引き起こされる老化現象のことをいいます。肌の老化には、光老化と加齢による老化の2種類があります。老化の原因の約8割は光老化によるもので、加齢による老化に上乗せされる形で肌の変化として現れてきます。
加齢による老化では皮膚が薄くなり、色も薄くなる傾向にありますが、光老化では紫外線に対する防御反応として皮膚が厚くゴワゴワになり、色も濃くなるのが特徴です。これがシワやシミが濃くなる原因なのです。つまり、同年代でもシミやシワが目立つ方と、そうでない方の違いは、紫外線を浴びてきた量の差が大きいといえます。
光老化の基礎知識 編②〈紫外線の影響〉
「紫外線」は、一年中、室内でも油断できません。
特に真皮層にダメージを与える“UVA”に注意!
Q 夏の紫外線と秋・冬の紫外線は、肌に与えるダメージの違いとは?
夏の紫外線は、主にUVBの影響で肌にジリジリとした熱さを感じ、強い日やけ(サンバーン)を起こします。秋冬になるとB波は弱まりますが、代わりにUVAの影響が強くなります。UVAは真皮の奥深くまで到達し、メラニン色素を増やすことで、皮膚が黒くなる日やけ(サンタン)を引き起こします。
UVAは一年を通して一定量降り注ぐため、冬でも油断はできません。窓ガラスも通過するので、室内にいても陽射しの強い場所では注意が必要です。可視光線の一種である近赤外線は、筋層にまで到達しダメージを与えます。このダメージの蓄積が、深いシワやたるみの原因となるのです。
汗をかいたりして日やけ止めが落ちやすい状況では、紫外線や近赤外線のダメージを受けやすいので、特に気をつけていただきたいですね。
光老化の基礎知識 編③〈ブルーライトの影響〉
デジタル機器が発するブルーライトでも、
シミ・シワ・たるみが増えていく。
Q PCやスマートフォンから出るブルーライトの肌への影響は?
ブルーライトには太陽光に含まれるものと、PCやスマートフォンなどから発せられるものがあります。ブルーライトの肌への影響については研究中の部分もありますが、紫外線より波長は長いものの可視光線の中では最も波長が短く、太陽光に含まれるブルーライトのほうが肌への影響は強いと考えられています。
ブルーライトは紫外線と同様に、メラニン色素を増やして肌の色を黒くします。また、真皮層に到達してコラーゲンの生成を阻害することで、シワやたるみの原因にもなるのです。
現代社会では、PCやスマートフォンを使わない日はないといっても過言ではありません。ブルーライトへの対策も怠らないようにしたいですね。
光老化の予防対策 編
日やけ止め、服装、サングラス・眼鏡で、
紫外線やブルーライトを直接浴びない工夫を!
Q 光老化を防ぐ具体的な対策は?
光老化の対策には、紫外線だけでなくブルーライトの影響も考慮する必要があります。
紫外線対策の基本は、こまめな日やけ止めの使用です。加えて日傘をさしたり、肌の露出を避けた服装を心がけたり、日陰を歩くなどの工夫も大切です。
PCやスマートフォンから発せられるブルーライトについては、長時間の使用を控えめにしたり、画面の明るさを抑えたりすることが有効とされています。日やけ止めを塗ることでブルーライトを防ぐ効果も期待できます。
また、紫外線もブルーライトも目から入ることで肌に悪影響を及ぼすことがわかっています。UVカット機能付きのサングラスや、ブルーライトカット眼鏡を取り入れるのも良い対策になるでしょう。
Q 日やけ止め選びと正しい塗り方について教えてください
正しい日やけ止めの選び方と使い方を知っておくことが大切ですね。
日やけ止めを選ぶときは、SPF値とPA値を目安にします。SPF値は紫外線B波に対する防御指数で、数値が高いほど効果が高いことを示します。一方、PA値はA波に対する防御グレードを表し、「+」の数が多いほど効果が高くなります。
屋外でのスポーツなど、紫外線量が多い場面ではSPF50+、PA++++を、日常生活ではSPF20~30、PA++程度を選ぶのがおすすめです。ただし、日やけした肌が赤くなりやすく黒くなりにくいタイプの方は、黒くなりやすい方よりも紫外線ダメージを受けやすいので、より高いSPF値、PA値の製品を選んでください。
塗り方のコツは、サクランボ大を手に取り、額、両頬、鼻、あごにそれぞれ1箇所ずつおいて、軽くなじませるとムラなく塗れます。耳や首筋も忘れずに塗るようにしましょう。
Q日常生活での対策や治療としてできることは?
光老化対策だけでなく、肌の老化を予防する生活習慣として、質の良い睡眠をとること、こまめな休息をとること、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
最後に、赤須先生からのメッセージ
光老化対策において何より大切なのは、継続することです。当クリニックでも、可能な限り紫外線を浴びないことをおすすめしています。長年にわたって紫外線対策を怠らなかった方は、70代、80代になっても、シミのない美しい肌を保っていらっしゃる方が多いです。シミがないことで、実年齢より10歳から15歳ほど若く見えるんですよ。
今は肌に変化が現れていなくても、5年後、10年後、20年後には光ダメージの蓄積が表面化してきます。今日から始めても遅くはありません。紫外線やブルーライトへの対策を日々の生活に取り入れ、意識して続けていってください。あなたの肌は、あなたが努力した分だけ必ず美しくなります。
年を重ねたときに実感できる肌の美しさは、あなたの自信にもつながるはずです。ぜひ積極的に光老化対策に取り組んでいただきたいと思います。