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赤須医院院長
赤須 玲子 先生
山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。
著書:「顔そりスキンケア」「2週間でつるつる美肌になる本」(マキノ出版)など。
○医学博士
○日本皮膚科学会専門医
○株式会社シーボン顧問皮膚科医
肌悩み① 乾燥
タンパク質を補いながら、腸内環境を整える成分をセットで
乾燥が気になる方にまずお聞きしたいのは、「タンパク質は足りていますか?」ということです。肌の細胞や、うるおいを保つ成分のベースとなるのはタンパク質。不足すると、いくら外側から保湿しても、うるおいを保つことができません。
また、意外に思うかもしれませんが「腸内環境」も大切です。栄養は腸から吸収されますから、便秘がちな方はどうしても肌が荒れやすくなります。乾燥を防ぐためには、まずは老廃物が体外へスムーズに排出される環境を整えることが大切です。食事だけでは不足しがちなタンパク質を補いながら、腸内環境を整える成分をセットで考えるのが理想的ですね。
おすすめの成分
| タンパク質(プロテイン) | 皮膚など体の基礎を構成する重要な栄養素です。 |
| ビタミンB群(B2・B6) | 肌の代謝(ターンオーバー)を正常に保ちます。 |
| 乳酸菌(プロバイオティクス) | 腸内環境を整え、栄養の吸収をスムーズにします。 |
ワンポイントアドバイス!
①食事の補助として活用: あくまで食事では足りない分を補うイメージで摂取。即効性を期待せず、長期的に続けましょう。
②質の良い睡眠も大切: 乾燥肌のケアには、サプリメント以上に、十分な睡眠の確保が不可欠です。

肌悩み② ニキビ
皮脂コントロールに役立つ最低限のビタミンに絞る
ニキビに悩む方にお伝えしたいのは、「まずは引き算をしてください」ということです。現代の方は、栄養不足というより、むしろ栄養の「摂りすぎ」や「偏り」によってニキビを悪化させているケースがあります。
よかれと思って飲んでいるコラーゲンやヒアルロン酸などが、逆に皮脂分泌を過剰にさせ、ニキビを誘発しているケースが多々あります。
また、複数のビタミンを配合したマルチビタミンも、一部の脂溶性ビタミン*が体内に蓄積されることで過剰摂取になってしまう場合があります。ニキビがあるときは、あれこれ足すのを一度やめて、皮脂コントロールに役立つ最低限のビタミンに絞ってみる。そして、菓子パンやスイーツ、ナッツ、チョコレートといった「高GI食品」*を控える。この「引き算」こそが、ニキビケアの最短ルートなのです。
*脂溶性ビタミン:水に溶けにくく、油脂やアルコールで溶ける性質をもつビタミン(A・D・E・K)のこと
*高GI食品:食べた後に血糖値を急激に上昇させる食品のこと。糖質を多く含む主食や、甘いお菓子などに多く見られます。
おすすめの成分
| ビタミンB2・B6 | 過剰な皮脂分泌をコントロールします。 |
| ビタミンC | 炎症を鎮め、ニキビ跡が残るのを防ぎます。 |
ワンポイントアドバイス!
①マルチビタミン・コラーゲンを控える: ビタミンやタンパク質の過剰摂取がニキビを悪化させることがあるため、一度中止して様子を見ましょう。
②高GI食品の制限: 菓子パン、スナック菓子、デザートなどと一緒にサプリメントを飲んでも、効果は半減されてしまいます。

肌悩み③ シワ・もたつき
コラーゲン産生には、タンパク質とビタミンCをペアで補う
肌のハリ不足に対し、コラーゲンやヒアルロン酸のサプリメントを真っ先に選ぶ方が多いですが、これらは分子量が大きいため、摂ったものがそのまま肌のコラーゲンになるわけではありません。
大切なのは、肌の中でコラーゲンを産生する力を高めることです。そのために必要なのは、コラーゲンのベースとなるタンパク質と、その合成を促進するビタミンC。このペアを食事の補助として取り入れるのが理にかなっています。
また、年齢とともに血管も細く弱くなりがちです。毛細血管のめぐりをよくすることも、肌に栄養を届けるためには欠かせない視点ですね。
おすすめの成分
| タンパク質 | コラーゲン生成時の原料となります。 |
| ビタミンC | コラーゲンの生成を促す役割を果たします。 |
| ヒハツエキス | 加齢で細くなっている毛細血管をケアし、血行を促進します。 |
ワンポイントアドバイス!
①セットで摂取: タンパク質とビタミンCを合わせて摂ることで、コラーゲンの生成が促進されます。
②骨密度のケア: 年齢を重ねた方は、骨密度を維持・強化するビタミンDを併用して骨から健やかさを保つのも一手です。
肌悩み④ シミ・日やけ
肝斑にはトラネキサム酸を、日やけ後はビタミンCを多めに
シミへのアプローチで大切なのは、今あるシミのタイプを正しく知ることです。例えば、左右対称にできる「肝斑(かんぱん)」にはトラネキサム酸、ビタミンC、ビタミンEがおすすめですが、一般的な日光性のシミにはそこまでの効果は期待できません。
また、日やけをしてしまった直後のケアも重要です。日やけ後の肌は、内部で炎症が起きて火照っている状態。この炎症を鎮めるために、抗炎症作用のあるビタミンCをいつもより多めに摂ることがおすすめです。
ただし、ビタミンEやビタミンAなどは体に蓄積しやすい性質があるため、過剰摂取は避け用量を守ることが鉄則です。
おすすめの成分
| トラネキサム酸、 ビタミンC・E |
肝斑(かんぱん)のケアにおすすめです。 |
| ビタミンC | 日やけ後の炎症を鎮め、メラニンの沈着を防ぎます。 |
ワンポイントアドバイス!
①シミの種類を確認: 自分のシミが肝斑なのか、日光性なのかを知ることで、選ぶべき成分が変わります。
②過剰摂取に注意: 特にビタミンE・ビタミンAは「脂溶性」のため、体に蓄積しやすい特徴があります。メーカーの推奨摂取量を守りましょう。

ここに注意!「サプリメント摂取・5つの鉄則」
① 種類は「2~3種類」に留める
種類を増やしすぎると、何が効いているのか、あるいは何がトラブルの原因なのかが分からなくなります。また、肝臓への負担も無視できません。2~3種類に留めて、自分の体への反応をしっかり観察しましょう。
② 「1か月」継続して、自分の体で判断する
サプリメントもスキンケアも、まずは1か月試してみてください。肌の生まれ変わり(ターンオーバー)に合わせて変化を追うことが大切です。もし1か月続けても肌悩みに何の変化もなければ、一度中止して皮膚科へ相談することをお勧めします。
③ 「食事日記」をつけて原因を見つける
特にニキビや肌荒れをくり返す方は、自分が何を食べているか記録してみてください。ナッツを何粒食べたか、チョコレートをいつ食べたか。日記をつけることで、自分にとっての「肌荒れのトリガー」が驚くほど明確に見えてきます。
④ 血液検査の結果をベースに選ぶ
血液検査の結果をもとにサプリメントを選ぶのもよいでしょう。数値を見れば、タンパク質が足りないのか、ビタミンDが不足しているのかが一目瞭然です。今はAIを簡単に活用できるので、データに基づいた「賢い選択」をすることもできますね。
⑤ 医薬品とサプリメントを使い分ける
サプリメントはあくまで日常の食事で不足しがちな栄養素を補う「食品」です。一方で、病院で処方するシナールやトランサミンなどは「医薬品」であり、成分の含有量も品質の審査基準もまったく異なります。深刻な悩みがある場合は、自己判断でサプリメントを買い込むよりも、一度医療機関を受診したほうが、結果的にコストも安く、早く効果が出ることが多いですよ。
最後に、赤須先生からのメッセージ
肌の悩みは、体からの大切なサインです。それをサプリメントで無理やり抑え込むのではなく、まずは「睡眠・食事・スキンケア」という基本を大切にしてください。
サプリメントは、その基本の上に積み上げる「最後のピース」のようなもの。自分の体をよく観察し、賢く、丁寧に付き合っていくことで、肌を健やかに保てます。



