冬の乾燥を制するものは、美肌を制する!
教えて!赤須先生〜冬の乾燥小ジワ対策〜

気温が下がって寒さが厳しくなるにつれて、顔の小ジワが気になるようになります。季節の変化と小ジワが目立つこととの関係や、目元を中心とした皮膚の薄い部分の小ジワ対策、気になる小ジワの応急処置などについて、皮膚専門医の赤須先生に伺いました。


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Profile


赤須医院院長
赤須 玲子 先生

山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。
著書:「顔そりスキンケア」「2週間でつるつる美肌になる本」(マキノ出版)など。
○医学博士
○日本皮膚科学会専門医
○株式会社シーボン顧問皮膚科医

乾燥小ジワを引き起こす「冬の環境」 編
冬は角層細胞の水分量が減少し、
特に皮膚の薄い目元・口元に小ジワが・・・

Q 寒くなると小ジワが目立ちやすくなる原因は?

小ジワの原因は、肌の乾燥にあります。実は肌の角層細胞には、通常30%ほどの水分が含まれているのですが、大気の乾燥により細胞の水分量が減少してしまうのです。この細胞内の水分が減ることで、小ジワができやすくなります。顔全体の乾燥も気になりますが、特に皮膚の薄い目元や口元の乾燥が、冬になると目立ってきますね。

また寒くなると、唇の乾燥も気になります。乾燥した唇をつい舐めてしまいがちですが、舐める行為をくり返すうちに、皮膚が剥けたり出血したりすることがあるのです。これは、舐めて水分を補ったそばから蒸発してしまう悪循環が起きているからなのですね。この症状は「舌なめずり皮膚炎」と呼ばれ、子どもに多い症状ですが、大人でも冬は注意が必要です。

Q 秋から冬に肌の水分量が減少する理由は?

冬が近づくと、大気の乾燥が進み部屋の湿度も下がってきます。すると、体の表面から水分が蒸発しやすくなり、肌の乾燥を感じるようになります。

さらに冬の間は代謝が落ちるため、汗をかきにくくなり皮脂量も減少します。汗や皮脂によって補われていた肌の水分や皮脂が減ることで、肌の細胞内の水分量はさらに減少していくんです。

また最近は、1週間の中で気温や湿度が急激に変化することも多くなりました。季節だけでなく1日の寒暖差によっても自律神経が乱れ、肌の乾燥や荒れを感じる人が増えています。その日の気温や湿度、そして肌の状態に合わせて、きめ細やかにスキンケアを行うことが大切です。

乾燥小ジワが出やすい「肌質と対策」 編
乾燥肌と混合肌の方は洗顔に注意して、
保湿力の高いアイテムを上手に使うこと。

Q 乾燥しやすく小ジワが出やすい方の特徴や肌質は?

肌質でいうと、乾燥肌と混合肌の方が、肌の乾燥を感じやすく小ジワが出やすい傾向にあります。また、洗顔に時間をかけすぎたり、1日に何度も洗顔を繰り返したりする方も注意が必要です。洗顔により皮脂が奪われ、肌の乾燥につながってしまうからです。

乾燥肌や混合肌の方は、冬のスクラブ洗顔も避けたほうがいいでしょう。洗顔の際にゴシゴシこすってしまうと、大切な角質まで取り除いてしまったり、水分を含んだ細胞まで落としてしまったりします。コットンでの拭き取りも、摩擦で肌を傷つけないよう気をつけましょう。

また、洗顔後の保湿もとても重要です。保湿が不十分だと、乾燥小ジワができやすくなってしまいます。

Q 乾燥小ジワ対策におすすめの成分やアイテムは?

美容皮膚科医がシワ対策として勧めているのが「レチノイン酸」です。レチノイン酸はレチノールの一種で、化粧品に含まれるレチノールより作用が強く、皮膚科で処方される成分です。ピーリング作用があり、コラーゲン生成を促進して古い角質を取り除き、ふっくらとハリのある肌へと導きます。ただし冬に使用すると、肌の乾燥や赤み、肌荒れを引き起こすことがあるので、使用には注意が必要です。

乾燥しやすい時期や小ジワが気になるときは、保湿力の高い化粧品を選んで使うのがおすすめです。目元や口元のケアには効果的ですが、皮脂分泌の多いTゾーンに使うと保湿のしすぎになり、若い方だけでなく50代や60代の方でも白ニキビができることがあります。

肌を触ってブツブツとしていたら、保湿のしすぎかもしれません。特に保湿力の高いクリームは、乾燥している部分にのみ使うようにしましょう。

乾燥小ジワの「応急処置&予防」 編
寝る前に、市販のワセリンやパックで保湿を。
洗顔は大雑把なくらいで十分なことも。

Q 目元の小ジワが目立ち始めたときの、応急処置は?

手っ取り早い方法は、市販のワセリンを就寝前に顔全体にたっぷりつけることです。かなりしっとりとした肌になるかと思います。ただし、ワセリンを塗るのは就寝前だけにしましょう。

朝、顔全体にワセリンを塗ると、紫外線の影響で鉱物油が酸化し、肌が赤くなったりかゆくなったりすることがあるので注意が必要です。

ほかには、今、流行中の「毎日パック」もおすすめです。肌がしっとりとしてハリが出てきます。使うアイテムは何でもいいので、自分の肌に合うものを試してみるといいでしょう。

また、夜のお手入れで使った保湿アイテムを肌に塗ったままにしておくと、皮脂と混ざって酸化し、肌によくない影響を与えることもあります。翌朝は必ず洗顔でオフするようにしましょう。

Q 乾燥小ジワの予防策があれば教えてください。

年齢とともに、肌は乾燥しやすくなってきます。洗顔の際は、大切な天然保湿成分まで落とさないよう、丁寧すぎない簡単な洗顔を心がけましょう。洗顔後は、特に目元と口元の保湿を念入りに行いましょう。

目の大きな方は、目の下の部分の乾燥にも注意が必要です。保湿アイテムをたっぷりと使って、縦ジワを防ぎましょう。唇が乾きやすい方は、保湿リップを小まめに塗り、常に唇が乾かないように気をつけてください。

また、やせ型の方はタンパク質などの栄養素が不足しがちで、ハリのない肌になりやすい傾向があります。ハリが足りないと小ジワも出やすくなるので、バランスの取れた食事を心がけ、十分な量を摂るようにしましょう。食べることで消化器官がしっかりはたらき、血流もよくなり、肌にも栄養が行き渡るようになります。

最後に、赤須先生からのメッセージ

シワにはさまざまな種類がありますが、小ジワは肌の乾燥から始まるシワです。40歳ごろから目立ってくるようになりますが、乾燥小ジワであれば保湿ですぐに対策できます。

「笑って楽しく生きてきたから、目元にシワが多い」とあきらめている方でも、実は笑ったときに目尻にできるシワ以外は、乾燥による小ジワだったということもあるのです。

表情ジワは楽しく生きてきた証であり、乾燥小ジワはお手入れ不足の証ともいえます。特に寒さが厳しく乾燥しやすい時期は、目元と口元の”たっぷり保湿”を心がけてくださいね。小ジワ対策は、日々の保湿ケアから始めましょう。