「肌を、人生を、調える」
シーボン60周年は新たな美の共奏へ

1966年の創業以来、化粧品の研究開発、販売において常に革新に挑んできたシーボン。60周年の節目を前に、「肌は心と身体の鏡」という新たなコンセプトを掲げ大規模なリブランディングを展開しています。100年続く企業を目指し、お客様とともに築いてきた美の哲学を次世代へと届けるために取り組んでいることとは。ブランディングプロジェクト責任者の岩崎優子さんに伺いました。


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60年のあゆみを、未来へつなぐ

――創業から60周年を迎えるにあたり、これまでのあゆみをお聞かせください。

岩崎:シーボンはきたる2026年に、創業60周年を迎えます。創業当初は、お客様のご自宅を訪問して化粧品を販売するスタイルでした。大きな転換点となったのが、創業20年目の1986年。女性の社会進出が進み始めた時代を背景に、訪問販売からサロン展開へと舵を切りました。

その後、1994年に現会長の犬塚雅大が大きなシステム変革に着手。オリジナルの「肌撮影機エピスキャン®」の原型である「フェイシャルコンピューター」を導入し、お客様の内側の肌状態を確認し、変化を見られるシステムを構築します。肌状態の測定など、科学的なアプローチを取り入れたのです。現在の「シーボン フェイシャリストサロン」の基本形はここからスタートしました。

創業社長の犬塚尚典の「良い化粧品であれば、無名のブランドであっても愛用していただける」「継続して買おうと思っていただけるような化粧品を」という想いは、今でも色濃く受け継がれています。1994年に行った改革から30年、私たちは「60thAnniversaryプロジェクト」を始動しました。

――今回のリブランディングで、特に大切にされている点は何でしょうか。

岩崎:変えるべきところと、変えてはいけないところを明確に区別しています。例えば、30年前に確立したトリートメントケアの手技は、現在も変わることなく受け継がれています。これは私たちの「核」とも言えるものです。

一方で、ロゴやパッケージデザイン、サロンの内装、フェイシャリスト®の制服など、お客様との接点となるデザインは刷新しました。また、今回海外モデルも起用し、メインビジュアルも一新。これまでの会員ビジネスモデルに基づく、限定的な広告展開から、より積極的なマーケティング活動へと移行します。

サロンの内装はベージュ基調で落ち着いた雰囲気に(写真は千葉店)

変わらない価値を、新しい言葉に

――今回掲げられた「肌は心と身体の鏡」というコンセプトについて、お聞かせください。

岩崎:このコンセプトは、シーボンの企業理念「美を創造し、演出する」を現代的に再解釈するところから生まれました。これまで英語表記では「To create and produce the beauty」としていた理念を、新たに「Orchestrate the Beauty」という表現に置き換えたんです。

オーケストラを構成するさまざまな楽器が調和して1つの音楽を奏でるように、私たちの3つの「人」「化粧品」「サロン」にまつわるサービスが、美しいハーモニーを奏でるという解釈です。「人」はサロンのフェイシャリスト®、「化粧品」は国内自社工場で作る化粧品、「サロン」はお客様が通われるサロン。この3つが調和することで、お客様の素肌づくりをトータルサポートします。

――その考えから、新しい美容理念「共奏美容」が生まれたそうですね。

岩崎:はい。これまでシーボンは「ホームケアとサロンケアの両輪で美しく導く」という考え方を持っていましたが、より皆さまに伝わるような言語化をしたいと考えました。「きょうそう」には、代表として「共奏」という字をあてていますが、さまざまな意味が込められています。

お客様とフェイシャリスト®が共に美しさを創る「共創」、ホームケアとサロンケアの調和をイメージする「協奏」、そして、肌と心の響き合いや東洋医学と西洋医学の知見に着想を得た融合を表す「共奏」。私たちの経験値としてもともと持っていたものを、より分かりやすい形で表現できたと思います。

――美容の5ステップについても新しく定義されましたね。

岩崎:従来の「落とす・与える・守る」という3ステップから、「調(ととの)える・満たす・高める・育む・守る」という5ステップへと進化させました。特に最初の「調える」というステップについては、深い想いがあります。

私たちの代表的な製品である「マセ」。マセはメイクや汚れを浮き上がらせて、やさしく落とすだけでなく、肌の土台である角層のコンディションを調える独自技術と高純度のスクワラン(保湿成分)を始めとした美容成分を絶妙なバランスで配合した繊細な化粧品です。

リブランディングに伴い昨年発売された4種類の「マセ」

ただ「落とす」ということ以上に、素肌を整える=スキンケアまでできるということにつながります。私たちはお客様に、マセを使った正しいお手入れ方法をお伝えし、ご自身で実践していただいています。それは、ご自分の手でできるようになれば、ご自宅でも毎日最適なケアができるから。クレンジングはそのくらい大切なステップであるという意味を込め、あらためて「調える」と定義しました。

シーボンの代表製品「マセ」の詳細はこちら

心に寄り添う、美の伴走者

――長年、幅広い年齢層のお客様に支持されているそうですね。

岩崎:はい。お若い方は20代から、上は90代で元気に通ってくださるお客様もいらっしゃいます。10年、20年と長く通い続けてくださる方も本当に多いんです。私たちは、お客様の人生に寄り添う化粧品であり、フェイシャリスト®であり、癒しの空間としてのサロンでありたいという願いをもっています。

15年ほど前まで私もフェイシャリスト®として働いており、先日、当時入会のお手伝いをさせていただいたお客様と再会することができました。その際「シーボンに出会えて本当に幸せ」というお言葉をいただき、お互い涙ぐむ場面もありました。長い年月を経ても私のことを覚えていてくださったことはもちろん、私がいなくなってからも様々なスタッフが連携してお客様を温かくおもてなしし、お客様との関係性を深め、長く通っていただいていることに、本当にうれしく、感動しました。お客様とこういった深い絆を築けるのは、シーボンならではだと思います。

それは、化粧品をご購入いただいたらアフターサービスとしてサロンケアがついてくるシーボンのシステムゆえ。一般的な販売店では、化粧品を購入したら、そこで関係が終わることが多いと思うんです。でもシーボンの場合、お買い上げいただいたときがスタートです。毎月の肌の解析、それに基づいたカウンセリング、手技による東洋式トリートメント、そして何より、お客様一人ひとりの人生の変化を一緒に喜び、寄り添っていくこと…。そんな心の通ったお付き合いが始まるのです。

シーボンでは、毎月の店長が集まる会議で「感動接客エピソード」という発表会を行っています。お客様との心温まるエピソードや、社員同士の小さな感動を共有する場を設けており、お客様の喜びや変化に触れることで、フェイシャリスト®としての誇りや使命感を再確認できます。

つい先日も、あるお客様から「シーボンに通い始めてから、肌が綺麗になっただけでなく、生活習慣も整うようになった」というお声をいただきました。肌の美しさが自信につながり、それが生活全体にポジティブな影響を与えていく。そんな変化に立ち会えることが、私たちの大きな喜びです。

30年の愛着を、新しい価値観へ

――今回のリブランディングでビジュアル面も大きく変わった想いをお聞かせください。

岩崎:はい。ロゴ、コーポレートカラー、内装、制服など、視覚的要素を全面的に刷新しました。特にロゴは、これまでの明朝体から、より現代的なゴシック体へと変更。従来のエレガントさを保ちながらも、しっかりとした意思の強さと柔らかな親しみやすさを兼ね備えたデザインを目指しました。

コーポレートロゴ(ブラック)とコーポレートカラー(シーボングリーン)を新たに定義し、さらにブランドロゴカラー(シーボングレー)も設定しました。特にシーボングレーには深い意味があります。ほかの色との中間色で、明暗のバランスを示す中立的な色。肌と化粧品の調和、お客様とフェイシャリスト®との調和、そしてバランスの取れた肌状態など、私たちの「調える」というコンセプトを象徴する色なんです。

――30年ぶりの制服刷新も話題になっているのだとか。

岩崎:制服については、とても印象的な出来事がありました。新しい制服に変わった際、会員様から「きれいなグリーンの制服に元気をもらっていたのでさみしい」というご意見をいただいたんです。コーポレートカラーであるグリーンの制服は、この30年の私たちのあゆみでもありました。こんなに愛着を持っていただいていたことに、感動してしまいました。

新しい制服には、新しい時代の要素がたくさん盛り込まれています。サロンワークをする際の動きやすさを考えた丈感の工夫など、フェイシャリスト®の働きやすさも考慮しています。スカートだけでなく、パンツスタイルも選択できるようになりました。多様性や機能性を高めながら、サロンの新しい雰囲気にも調和するデザインを目指しました。

――ビジュアルには初めて海外モデルが起用されました。

岩崎:これまでの親しみやすさを重視した戦略から、より高級感とブランド価値を効果的に伝えられる方向へと転換を図りました。新しいビジュアルによって、製品の品質の高さや、プレステージ感をより適切に表現し、憧れのブランドとなるような存在を目指していきます。

美の共奏は、新たなステージへ

――100年企業を目指すシーボンの、今後の展望をお聞かせください。

岩崎:2025年1月24日、六本木の本社ビル1階にコンセプトショップをオープンします。特徴的なのは、従来のビューティ・プログラムとは異なり、1回ごとのフェイシャルケアを受けていただけること。また、シーボン初のジェンダーレスサロンとして、男性のお客様もお迎えできる空間となります。ペアでケアを受けられるお部屋も用意していますので、カップルや親子での新しい美容体験の場としてもご利用いただけます。

最近は美容に関心の高い男性も増えていますし、既存の会員様のご家庭でも、旦那様が一緒に製品を使われているケースが少なくありません。また、お客様からは「母の日に一緒に来店したい」といったご要望も多くいただいています。

美容を通じた新しいコミュニケーションの形が生まれつつあります。より幅広い層の方々に、シーボンならではの価値をお届けしていきたいと考えています。

シーボン コンセプトショップの詳細はこちら

コンセプトショップでは、実際に製品を手に取って試すこともできる

――最後に、シーボンが大切にしていきたいことをお聞かせください。

岩崎:フェイシャリストサロンには、独自の強みがあります。化粧品をお買い上げいただくと、付与されるポイントに応じてアフターサービスを受けられ、定期的な肌カウンセリングや、フェイシャルトリートメントでお客様の変化を一緒に確認していく。このビューティ・プログラムは、60年の歴史の中で築き上げてきた、かけがえのないシステムです。

今回のリブランディングで、この価値をより多くの方々に知っていただくために挑戦しています。お客様一人ひとりの人生に寄り添い、素肌の美しさを通じて心まで輝かせていく。その想いは、これからも変わることはありません。

新しくなったシーボンで、より多くの方々と「美の共奏」を重ねていけることを、心から楽しみにしています。