幸せホルモン「オキシトシン」が肌にもたらす効果とは?

幸せホルモン(幸福物質)として知られるオキシトシンは、私たちの心と体によい影響を与えるホルモンとして注目を集めています。実は、オキシトシンが肌の健康にも深く関わっていることが、最近の研究で明らかになってきました。そこで今回は、オキシトシンが肌にもたらす効果や、オキシトシンの分泌を促す方法について紹介します。


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オキシトシンが肌にもたらす効果とは

「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンですが、一体どのような効果を肌にもたらすのでしょうか。まずは、オキシトシンが肌に与える影響についてみていきましょう。

表皮の再生を促進する

オキシトシンは、心への影響だけでなく、肌にも深く関わっていることが解明されつつあります。実は、肌は自らオキシトシンを作り出し、軽微な刺激によって肌の生まれ変わりを促すはたらきがあることがわかりました。肌への刺激が表皮再生の指標となる「Ki67」を上昇させることも確認されています。

一方、オキシトシンのはたらきを抑える薬を塗布した肌では「Ki67」が減少し、肌の再生が遅れることが判明しました。この結果は、オキシトシンが肌への軽い刺激による表皮再生に、重要な役割を果たす可能性があることを示しています。

出典:資生堂「資生堂、肌由来オキシトシンが表皮再生を促進することを発見

ストレスによる老化を抑える

オキシトシンは、ストレスホルモンの「コルチゾール」のはたらきを抑制し、肌細胞の老化を穏やかにする効果が期待できます。

ただ、歳を重ねるとともにオキシトシンの血中濃度は低下してしまうため、体内でコルチゾールが分泌されないように、ストレスには注意が必要です。

コルチゾールの分泌量が増えると、コラーゲンの生成に必要なビタミンCが消費されてしまい、シワやもたつきにつながります。オキシトシンはこのようなマイナスの作用を抑制し、肌の老化を防ぐために重要な役割を果たしています。

炎症を抑える

オキシトシンには、抗炎症作用があるといわれています。肌のうるおいが失われると、皮膚のバリア機能が低下し、外部刺激に敏感になることで炎症を起こしやすくなります。ニキビの赤みも炎症のひとつです。

オキシトシンの分泌が促されることで、肌の炎症を抑えて肌荒れを防ぐ効果が期待できるため、美肌に導くことが期待できます。

オキシトシンと肌ケアの関係

オキシトシンには、表皮再生の促進や肌の老化抑制、抗炎症作用などがあるといわれています。ここでは、オキシトシンと肌の関係についてさらに詳しくみていきましょう。

肌と脳は深い関係にある?皮脳同根(ひのうどうこん)とは

私たちの肌と脳には密接な関係があり、皮膚は第三の脳と呼ばれることがあります。これは「皮脳同根(ひのうどうこん)」という言葉であらわされ、皮膚と脳の根源が同じという意味です。

生命が誕生するまでには、受精卵が分裂した初期段階で「内胚葉」「中胚葉」「外胚葉」の3つに分類されます。内胚葉は骨や筋肉を作り、内胚葉は消化器系になり、外胚葉は脳と皮膚に分かれるため、肌と脳が深く関係していることがわかるのです。

スキンケアでオキシトシンを増やす方法

肌に触れることで、オキシトシンの分泌量を増やすことができますが、ハンドプレスを行うことでさらに効果を高めることができます。

スキンケアの際にハンドプレスを行うと、前頭前野のめぐりを促すことにつながり、肌に触れている快感情により前頭前野のはたらきが活発になります。ハンドプレスのやり方は下記の通りです。

【ハンドプレスのやり方】
1.手が冷たい場合は、両手をこすり合わせたり、お湯に浸けたりするなどして温めておく
2.洗顔後、化粧水を塗布してから手のひらや指の腹を肌と密着させながら5~10秒ずつやさしくプレスする
3.ゆっくりと肌から手を離す

ただし、肌荒れがあるときは、ハンドプレスが刺激となる可能性があるため、肌荒れが落ち着いてから行いましょう。

ハンドプレスを行うときは、好きな香りのスキンケア製品を使うことがおすすめです。香りの効果により、快感情を得やすくなります。香りが苦手な方は、無香料のスキンケア製品を選びましょう。スペシャルケアを行うことで、贅沢な気分が味わえるので、さらにオキシトシンが増えやすくなります。

オキシトシンの分泌を促すためのポイント

オキシトシンは肌によい影響を与えることがわかりましたが、どうしたら分泌量を増やせるのでしょうか。ここでは、オキシトシンの分泌を促すポイントをみていきましょう。

スキンシップをする

人と人とのふれあいによって心身が穏やかな状態になると、オキシトシンの分泌が促されるといわれています。スキンシップでは、触れられる側と触れる側のどちらもオキシトシンが高まることが明らかになっています。

とはいえ、スキンシップする相手が誰でもよいというわけではありません。お互いに信頼関係が構築できていたり、愛情があったりしなければ、オキシトシンの分泌は促されないからです。

また、人だけでなく、犬や猫などのペットやぬいぐるみを抱きしめることでもオキシトシンは分泌されます。特に、ふわふわとした心地のよい感覚がオキシトシンの分泌量を増やすポイントです。

また、「いつも頑張ってくれてありがとう」「お疲れさま」など、相手のことを思って声かけをすることでもオキシトシンは分泌されます。

五感を刺激する

五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)への刺激は、オキシトシンの分泌を促す効果が期待できます。五感を刺激する方法は下記の通りです。

視覚:美しい風景や絵画などを見る
聴覚:好きなアーティストの曲や、心を落ち着かせるような音を聴く
嗅覚:ラベンダーやローズマリーなど、好きなアロマの香りを楽しむ
味覚:おいしい料理や甘いものを食べる
触覚:マッサージやスキンシップをする

これらの五感への刺激によって、オキシトシンの分泌を促すことができます。人によって心地よいと感じるものは異なるため、自分に合った方法を見つけることが大切です。五感を刺激するような習慣を取り入れて、幸福感を高めましょう。

ストレスケアをする

ストレスの多い生活を続けていると、幸せホルモンのオキシトシンを減らしてしまう原因になります。しかし、オキシトシンの分泌が増えればストレスに耐性ができ、心身をよい状態に保つことができるでしょう。

オキシトシンを減らさずに増やすためには、ストレスケアが重要です。例えば、お風呂にゆっくり浸かったり、読書や音楽鑑賞など、趣味に没頭する時間をつくったりするのがおすすめです。

ストレスの原因を見つけて、できる限り取り除く努力をすることは大切ですが、ストレスを感じたときは自分に合った方法で早めのセルフケアを心がけましょう。

まとめ

オキシトシンが増えることで、表皮の再生が促されたり、ストレスによる老化を防いだり、炎症を抑える効果が期待できます。

スキンシップや五感への刺激、ストレスケアをするなど、さまざまな方法があるため、習慣に取り入れてみてくださいね。