敏感肌の人はレチノールを使っても大丈夫?使用時の注意点について解説

レチノールは肌のターンオーバーの周期を促進し、シワやもたつき、シミの予防・改善などさまざまな効果が期待できる成分です。とはいえ、「肌に合わなかった」という声もあることから、敏感肌でも使えるのか気になるところです。 今回はレチノールの効能と敏感肌の方が使えるか否かについて解説します。また、レチノールをスキンケアに取り入れる際の注意点についてもお伝えしますので、参考にしてみてください。


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そもそもレチノールとは?

レチノールはビタミンA誘導体の一種です。ビタミンAは油に溶けやすい性質をもつ脂溶性の抗酸化ビタミンで、肌のターンオーバーの周期を促進したり、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促したりするはたらきがあるといわれています。

ビタミンAにはレチノールのほか、さまざまな種類があり、代表的なものとして「酢酸レチノール」「パルミチン酸レチノール」「トレチノイン」などがあげられます。しかし、このなかで2017年に厚生労働省から医薬部外品成分として認定されたのは「レチノール」だけです。

出典:「2017年1月20日 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録」(厚生労働省)

酢酸レチノールやパルミチン酸レチノールはレチニルエステルと呼ばれており、安定性が高く、肌への刺激が少ないことから化粧品にも使用されています。

トレチノイン(レチノイン酸)は刺激が強いため化粧品に配合されることはなく、主に医薬品として皮膚科などで処方されています。

レチノールで期待できる効果

スキンケア製品に含まれているレチノールにはどんなはたらきが期待できるのでしょうか。

レチノールの主な効果についてみていきましょう。

肌を若々しく保つ

レチノールには体内の活性酸素の活動を抑え、肌のターンオーバーの周期を正常に保つ効能があります。

活性酸素とは、通常よりも活性化した酸素のことを指し、ほかの物質を酸化させる力が非常に強い点が特徴です。殺菌力が強く、体内の免疫機能として有益なはたらきをする一方、過剰に発生すると正常な細胞を傷つけ、シワやシミなどの肌老化を招きます。

レチノールには抗酸化作用があるため、活性酸素による肌悩みの予防効果が期待できます。加えて、肌のターンオーバーの周期を正常に保ち、肌に残ったメラニンなどの排出を促すことからも、シミ対策などに効果的といえます。

皮脂量をコントロールする

レチノールには皮脂の分泌量をコントロールする作用があるともいわれています。

皮脂の分泌量が多いと、肌のテカリやニキビなどに悩まされたりするものですが、レチノールにはそうした肌悩みの予防効果が見込めるということです。

もちろん、レチノールを使用すれば、ニキビやテカリなどの悩みがなくなるわけではありません。しかし、皮脂の分泌量が多いことで肌荒れが起きているのであれば、トラブル予防としてレチノールを使用するのもひとつの手です。

肌のハリや弾力をサポートする

コラーゲンやエラスチンの生成、またヒアルロン酸の合成を促す効果もレチノールには期待できます。

コラーゲンとエラスチンには肌に弾力やハリを与えるはたらきがあるため、これらがしっかりと生成されることで、弾力のある若々しい印象の肌に導いてくれます。

また、ヒアルロン酸は肌のうるおいをキープするのに必要なものです。この成分が十分に合成されれば、ふっくらとしたみずみずしい肌になることができます。

敏感肌の人がレチノールを使っても問題ない?

ビタミンAが不足している肌にレチノールを使い始めると、肌のターンオーバーの周期が急激に促進され、A反応と呼ばれる症状が起こることがあります。これはすべての人に起きるものではありませんが、人によっては軽いピリピリとした刺激や肌の赤みなどがみられることがあります。

はじめてレチノールを使用する場合は、肌の様子を見ながら徐々に慣らしていくようにしましょう。

同じビタミンA誘導体でも医薬品であるトレチノインと比較すると、レチノールによる刺激はマイルドで、敏感肌の方が使用できないものではありません。しかし、人によっては肌が乾燥し、バリア機能が低下することもあるため注意が必要です。

敏感肌の人に合うレチノール配合化粧品の選び方

レチノールを使用すると肌が乾燥しやすくなるため、高保湿成分が入っている基礎化粧品を選ぶのがおすすめです。

保湿効果が高い成分としてはヒアルロン酸、セラミド、コラーゲン、ヘパリン類似物質などがあります。化粧水や乳液などを選ぶ際は、これらが配合されたものを選ぶと、レチノールの影響による肌の乾燥を抑えることができます。

また、基本的なことではありますが、化粧水だけでスキンケアを済ませないことも大切です。化粧水で補えるのは主に水分なので、そのままだと蒸発して肌が乾燥してしまいます。

肌のうるおいを逃がさないためには、油分の含まれている乳液やクリームでフタをすることが欠かせません。

また、敏感肌の方に限らず、レチノール配合化粧品については、濃度が高いものほど赤みや皮むけなどのリスクが高くなるため注意しましょう。

日本製のレチノール化粧品については、レチノールの配合量を250,000IUまでと決められており、これは配合量にすると0.04%と換算されます。しかし、海外の化粧品だとそれ以上配合されているものもあり、副反応が強く出ることも考えられるため、使用する際はこの点に留意しましょう。

【基本】レチノール配合化粧品の使い方

レチノールには紫外線や熱で分解されやすい性質があります。レチノールが高濃度配合された製品の場合、日中に使用しても特に効果が期待できないため、夜のみの使用を推奨していることが多いです。

ただし、レチノール配合化粧品のなかには朝晩に使えるものもあるので、パッケージの使用方法に従って使いましょう。

レチノールを使用するタイミングは、洗顔をして化粧水を肌全体になじませたあとが一般的です。レチノール使用後は肌が乾燥しやすい状態であることから、念入りに保湿ケアをするのがおすすめです。

敏感肌の人がレチノール配合化粧品を取り入れる際の注意点

敏感肌の方のなかには、レチノール配合化粧品に興味があるものの、「刺激になるのでは?」「肌荒れしないか心配」と感じている方もいるかと思います。

ここでは敏感肌の方がレチノール配合化粧品を取り入れる際の注意点について解説します。

副反応に注意する

レチノール配合化粧品を使用すると、肌の乾燥が悪化したり、赤み、ほてりなどの副反応が現れたりすることがあります。これらは敏感肌の方でなくても現れることがあるため、珍しいことではありません。

しかし、状態の悪化を防ぐため、症状がみられたらすぐに医療機関を受診しましょう。

また、レチノールによる副反応が不安な方は、あらかじめパッチテストを行ってからスキンケアに取り入れるのもひとつの手です。

<パッチテストのやり方>

1.二の腕の内側など目立たない部位に少量のレチノール配合化粧品を塗る
2.30分ほどそのままにする
3.赤みやかゆみなどの異常がなければ、1日様子をみる
4.1日経っても異常が生じなければ、顔に使用する

紫外線による劣化に注意する

レチノールは紫外線に弱いという性質があるため、保管場所には注意が必要です。

日の当たる場所などにレチノール配合化粧品を保管すると、紫外線によって劣化してしまうことがあるため、窓のそばなど高温になりやすい場所ではなく、冷暗所に置きましょう。

紫外線対策を徹底する

保管する場所に加えて、レチノール配合化粧品を肌に塗ったあとの紫外線対策も重要です。

日中は必ず日やけ止めを使用して、肌を紫外線から護るようにします。外出する際は日やけ止めに加えて日傘や帽子なども活用してしっかりと肌を保護しましょう。

まとめ

レチノールには肌を若々しく保ったり、皮脂の分泌量をコントロールしたり、肌のハリや弾力をサポートしたりする効果が期待できます。とはいえ、副反応が生じることもあるため、敏感肌の方は本記事で紹介した注意点を守って使用するようにしましょう。