口周りの肌荒れの原因
口周りに肌荒れが起きてしまうのはなぜでしょうか。考えられる原因をみていきましょう。
【原因その1】乾燥
口周りに肌荒れが起きる原因のひとつは、口周りが乾燥しやすいことにあります。口周りは皮脂腺そのものが少なく、目の周りと同様に皮脂の分泌量が少ないので、肌の水分を保つことが難しいのです。
加えて、口周りは皮膚が薄く、摩擦に弱いため、乾燥による肌トラブルが起きやすい原因となっています。
【原因その2】物理的刺激
食事をするとき、しゃべるとき、歯を磨くときなど、日常生活の中で口元はよく動かします。また、よく手が触れる部位でもあり、物理的刺激を受けやすく、肌荒れも生じやすくなります。
また、最近は感染症や花粉症対策としてマスクを着用している方も多いのではないでしょうか。マスクを着用すると、マスクによる刺激や外したときの温度差などによって肌が乾燥しやすくなるため、肌荒れの原因となります。
【原因その3】生活習慣の乱れやストレスの影響
口周りに肌荒れが起きてしまう原因として、食生活の乱れや睡眠不足、ストレスなどが挙げられます。
偏った食生活、例えば、バターやチーズなどの動物性脂肪や糖質の多い食品を食べるような生活が続くと、皮脂の分泌量が増加し、口周りだけでなく、あごや小鼻などにニキビができやすくなります。
また、睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスや自律神経の乱れにつながります。ホルモンバランスが乱れると、皮脂の過剰分泌によってニキビができやすくなったり、自律神経が乱れると肌のターンオーバーが乱れて肌荒れが起きやすくなったりするでしょう。
特に睡眠中は、肌のターンオーバーに必要な成長ホルモンが多量に分泌される時間帯です。睡眠不足が続くと肌のターンオーバーの周期が乱れてしまい、肌荒れなどのトラブルが発生しやすくなります。
口周りの肌荒れを予防するスキンケア
適切なスキンケアは、口周りの肌荒れの予防につながります。口周りの肌荒れを予防するスキンケアのポイントを、「洗顔」と「保湿」に分けてみていきましょう。
洗顔のポイント
スキンケアの基本となる洗顔は、その後の保湿ケアに進む前の肌の土台づくりとして大切なステップです。ただし、間違ったやり方で行うと、肌に負担となってしまうので注意しましょう。
洗顔をする際は、洗顔料でたっぷりの泡を作り、できるだけ肌に指が触れないように摩擦を避けて洗うことがポイントです。洗顔料の泡立てが不十分だと、手で肌をこすってしまうおそれがあります。
たっぷりの濃密な泡を作るには、洗顔前に手を洗って汚れを落としておきます。そして、洗顔料に少しずつ水(ぬるま湯)を加えながら泡立てることが大切です。難しい場合は、泡立てネットを使うと簡単に弾力のある濃密な泡が作れます。
しっかりと泡立てたら、皮脂の分泌量が多いおでこと鼻のTゾーンから洗っていきましょう。その後、頬や口周り、目元など顔全体に泡を広げていきます。
顔全体を洗ったら、泡が残らないようにしっかりとすすぎましょう。肌に負担をかけないように、30~32℃のぬるま湯ですすぐことが大切です。熱いお湯は必要な皮脂まで落とし、より乾燥を招いてしまいます。
保湿のポイント
洗顔や入浴で肌を清潔にしたら、タオルでやさしく水分を拭き取り、すぐに保湿ケアを行いましょう。
保湿ケアは、化粧水→美容液→乳液→クリームの順で肌になじませていきます。まずは水分が多いものから肌になじませ、最後に油分の多いクリームで肌にフタをして、肌のうるおいが逃げないようにするのがポイントです。また、唇の乾燥対策のためにリップクリームを塗るようにしましょう。
ベタつきが気になる場合は、クリームを省いても構いませんが、化粧水だけで保湿ケアを完了するのはNGです。必ず油分の含まれた乳液も使いましょう。
紫外線を浴びるのも肌荒れにつながるので、朝のスキンケアでは日やけ止めを塗って紫外線から肌を護ることも大切です。
口周りの肌荒れに食事からアプローチしよう
口周りの肌荒れ対策として、栄養バランスのとれた食事をするのもおすすめです。特に美肌のもととなる栄養素や肌の健康を保つのに役立つ栄養は意識して摂取しましょう。
肌荒れの予防・改善のために摂りたい栄養は以下のとおりです。
摂取したい栄養素 | 栄養素のはたらき | 豊富に含まれている食材 |
タンパク質 | 細胞の材料となる栄養素で、肌や血液、筋肉などを作るのに欠かせない。 | 肉、魚、卵、乳製品、大豆・大豆製品 など |
ビタミンA | 細胞の損傷や日やけによる皮膚へのダメージを防ぎ、皮膚や粘膜の健康を保つのに必要な栄養素。 | レバー、うなぎ、卵、緑黄色野菜(かぼちゃ、にんじん、ほうれん草 など) |
ビタミンB群 | 肌のターンオーバーを正常に整え、皮膚や粘膜の健康を保つはたらきがある。脂質や糖質の代謝にも関わっており、不足すると肌荒れを起こしやすくなる。 | レバー、豚肉 、うなぎ、かつお、ブリ、サバ、あさり、ホタテ、玄米、ほうれん草、モロヘイヤ など |
ビタミンC | 抗酸化作用があり、肌の老化を防ぐ効果が期待できる。肌のハリを保つのに必要なコラーゲンの合成にも関わっている。 | 芽キャベツ、ブロッコリー、パプリカ、グレープフルーツ、オレンジ、キウイ、イチゴ、アセロラ など |
ビタミンE | 抗酸化作用をもち、体内の脂質の酸化を防ぐ。血行促進効果も期待できるため、肌のくすみ改善にもつながる。 | アーモンド、ピスタチオ、クルミ、ゴマ、アボカド、植物油(菜種油、ヒマワリ油) など |
セラミド | 肌の乾燥を防ぎ、うるおいを護る。 | 小麦、生芋こんにゃく、大豆、ブロッコリー など |
食物繊維 | 腸内環境を整えて、ニキビや吹き出物などの原因となる便秘の予防効果が期待できる。 | 穀物類、野菜、豆類、きのこ類、海藻、果物 など |
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口周りの肌荒れ予防のために気をつけたいポイント
口周りの肌荒れ予防のために、スキンケアや食事のほかに気をつけたいポイントを紹介します。
マスクは肌にやさしいものをつける
マスクを着用する場合、肌にやさしい素材のマスクを使用しましょう。肌に刺激となるチクチクゴワゴワする素材のものは避け、快適に着用できる素材のものを選びます。
化学繊維に触れると肌荒れが起きやすい方は、綿やシルク素材のマスクを選ぶのがおすすめです。しかし、仕事などの関係で、不織布のマスクの着用を求められている方もいるかと思います。その場合は、中にガーゼをはさむなどして不織布が直接肌に触れないようにしましょう。
また、自分に合ったサイズのマスクを選ぶことも大事です。自分の顔のサイズに合わない小さいマスクを着用すると、皮膚を圧迫してしまいます。逆に大きいサイズのマスクだと、マスクがずり落ちやすく摩擦が生じます。肌荒れを防ぐには、自分の顔にジャストフィットするサイズを選びましょう。
刺激を与える行為を避ける
口周りの肌荒れを予防するには、肌に刺激を与える行為を避けるように意識したいところです。
例えば、唇を触る、舐めるという行為は、肌を刺激して乾燥や肌荒れを引き起こす原因となるので避けましょう。食事の後に口周りをティッシュやナプキンなどでゴシゴシと拭いたり、かゆいからと爪を立ててかいたりする行為もNGです。
できるだけ口周りの肌を触れない、刺激しないように心がけましょう。
まとめ
口周りの肌荒れが気になるなら、適切なスキンケアと栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。また、本記事で紹介した肌荒れの原因となる乾燥、物理的刺激、ストレスなどを避けることも大切です。
ただし、口周りの肌荒れがなかなか治らない、気をつけているのに悪化する場合は、ほかに原因があるかもしれません。また、肌に異常がある状態でスキンケアアイテムを使うと、さらに肌荒れが悪化する可能性があります。自分で判断せずに、皮膚科への相談をおすすめします。