ストレスを溜めこむと肌荒れが起きるのはなぜ?
過剰なストレスは肌の乾燥を招きやすくなります。さらに、外部刺激に敏感になり、肌荒れが起こりやすくなるのです。ここでは、ストレスで肌荒れが起きる理由を詳しく解説します。
ホルモンバランスが乱れるため
女性ホルモンは生理周期や加齢だけでなく、ストレスの影響を受けやすい特徴があります。女性の体では、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが一定のバランスで分泌されています。それぞれのはたらきは下記の通りです。
・エストロゲン:肌のうるおいを保つために必要なコラーゲンや、ヒアルロン酸などの生成をサポートする。
・プロゲステロン:月経前になると増加するホルモンで、皮脂分泌を促す。
月経前になるとプロゲステロンが増えるため、ニキビができたり毛穴が詰まったりしやすくなります。
また、女性ホルモンは脳の視床下部や脳下垂体から指示を受けて正常に分泌されますが、これらの部位はとてもデリケートでストレスに弱い傾向があります。
ストレスを受けて緊急事態と判断した脳は、女性ホルモンの分泌を減少させてしまうのです。その結果、ホルモンバランスが乱れて肌が乾燥し、皮脂の分泌が盛んになり、肌荒れにつながりやすくなります。
自律神経のバランスが乱れるため
ストレスは自律神経にも悪影響をおよぼします。自律神経は交感神経と副交感神経から構成されていて、うまくバランスを取りながら内臓のはたらきなどを維持しています。
交感神経は身体が緊張しているときに優位になり、副交感神経はリラックスしているときに優位になります。これらは無意識にバランスを取りながら、よい状態にキープしようとしているのです。
しかし、ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、交感神経が優位になり血管が収縮した状態が続くことで血行不良を招きやすくなります。血行が悪い状態が続くと、肌の温度も低下しやすくなります。皮膚温度は体温とは異なり、通常は33℃程度を保っていますが28℃に下がるとバリア機能が低下し、乾燥しやすくなるのです。
バリア機能には外部刺激から肌を護ってうるおいを保つはたらきがあるため、機能低下が見られることで肌荒れの原因につながります。
また、血行が悪くなると全身に酸素や栄養が運ばれにくくなり、肌が生まれ変わるサイクルを示すターンオーバーの周期も乱れやすくなります。さらに、バリア機能も低下し、肌が敏感になり肌荒れを引き起こしやすくなるのです。
ストレスによって肌荒れが起きやすい部位
ストレスが原因で起こる肌荒れの場合、Uゾーンと呼ばれる顎まわりやフェイスラインに現れやすいのが特徴です。また、ストレスによって起こる肌荒れは、同じ場所にくり返しできる傾向もあります。くり返すニキビは、ストレスが原因になっていることも少なくありません。
ストレスによる肌荒れの対処法
ストレスによる肌荒れを防ぐには、適切なスキンケアと生活習慣を整えることが大切です。ここでは、ストレスによる肌荒れの対処法を紹介します。
丁寧なスキンケアを心がける
肌への負担を軽減するには、日ごろから丁寧なスキンケアを心がけることが大切です。
洗顔
洗顔時にゴシゴシ擦ると摩擦によって、バリア機能の低下につながり肌荒れを引き起こしやすくなります。
まずは、洗顔料を泡立てネットなどを使い、しっかりと泡立てましょう。たっぷりの泡で顔全体を包み込むようにして、円を描きながらやさしく洗います。
また、肌荒れが起きているときは刺激に敏感な状態のため、敏感肌用や、低刺激で洗浄力が強すぎないものを選ぶようにしましょう。
保湿
肌荒れが起きているときは普段よりも肌が乾燥している状態のため、しっかりと保湿しましょう。バリア機能をサポートするためには、水分と油分をバランスよく補う必要があります。化粧水で十分に水分を与えてから、油溶性の乳液やクリームでうるおいにフタをしましょう。
化粧水は、こすらずに手のひらで押さえるように塗っていきます。ニキビなどの炎症がみられるときは、抗炎症作用のあるスキンケアアイテムを部分的に使用することもおすすめです。Uゾーンは皮脂腺が少なく、乾燥しやすい部位です。まったく保湿しないでいるとニキビがくり返しできてしまいます。
乳液や保湿クリームも保湿力が高く肌荒れがケアできる敏感肌用のスキンケアアイテムを選びます。ただし、付けすぎには注意が必要です。過剰に保湿をすると毛穴がつまり、肌荒れが悪化してしまうこともあります。乳液・保湿クリームは適量を守って使用しましょう。症状にもよりますが、必要最低限のスキンケアは行うようにすることが大事です。
紫外線対策
紫外線は季節を問わず1年中降り注いでいます。紫外線を浴び続けると、肌はダメージを受け、乾燥し、肌荒れを引き起こしやすくなります。そのため、こまめに日やけ止めを塗る習慣をつけましょう。
朝のスキンケアの流れで日やけ止めを塗るようにすると、塗り忘れを防げます。肌荒れが気になるときは、敏感肌用の日やけ止めの活用をおすすめします。晴れた日の長時間の外出には日傘や帽子を利用しましょう。
肌によい食べ物をしっかり摂る
肌荒れを防ぐためには、身体の内側から整えることも大切です。肌荒れが気になっているときには、油分の多い揚げ物を避け、カフェインや香辛料などの刺激物も控えます。普段から栄養バランスのよい食事を心がけ、肌荒れにおすすめの栄養素を意識して摂りましょう。積極的に摂りたい栄養素は下記のとおりです。
ビタミンA
ビタミンAは皮膚や粘膜を整えて、肌のうるおいを保つはたらきがあります。レバー、うなぎ、人参、ほうれん草、春菊などに多く含まれています。
ビタミンB群
ビタミンB群は皮膚や粘膜を健康に保つはたらきがあります。特にビタミンB2とビタミンB6が不足すると、肌荒れや皮膚炎が起こりやすくなるため注意が必要です。
ビタミンB2はレバー、卵、納豆、のりなどに、ビタミンB6は玄米、マグロ、かつお、ささみ、モロヘイヤ、ごまなどに多く含まれています。
ビタミンE
ビタミンEは脂質の酸化を防いだり、血行を促進したりするはたらきがあります。血液のめぐりがよくなることで、肌のターンオーバーの周期が整いやすくなるのが特徴です。ビタミンEはナッツ類、オリーブオイル、かぼちゃ、アボカドなどに多く含まれています。
食物繊維
健やかな肌を保つためには、腸内環境を改善することも大切です。食物繊維には腸内環境を整えるはたらきがあるため、意識して摂りましょう。食物繊維を多く含む食べ物は、雑穀米、全粒粉パン、おから、さつまいも、ごぼう、れんこん、しいたけ、こんにゃく、りんごなどです。
質のよい睡眠をとる
質のよい睡眠はストレス軽減につながります。しかし、睡眠不足が続くと心身の疲労が取れないまま、ストレスが蓄積されてしまいます。
そのため、十分な睡眠時間を確保するとともに、質のよい睡眠を取ることが大切です。そのためには、入眠時に副交感神経を優位にすることが欠かせません。就寝前にスマートフォンやPCを見ることを避けて、アルコールやカフェイン入りの飲み物を控えるとよいでしょう。寝具や空調の見直しで睡眠環境を心地よく整えるなどの工夫も大切です。
ストレスを溜めこまないための方法
肌荒れ対策をするときは、スキンケアや生活習慣を見直すだけでなく、ストレスと上手に付き合うことが大切です。ここではストレスを溜め込まないための方法を紹介します。自分に合ったストレス解消法を見つけて、ぜひ実践してみてください。
適度な運動を取り入れる
身体を動かすとストレスを解消するホルモンの分泌が促されるといわれており、リラックスした状態に導きやすくなります。心地よい疲労感によってぐっすりと眠れるようになると、睡眠リズムにもよい影響を及ぼします。
また、運動するときはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。疲れているときや運動するのが億劫なときは、ヨガやストレッチなどの自宅でできる運動もよいでしょう。軽い運動やストレッチは血行もよくなり、肌荒れにも効果的です。
腹式呼吸をする
強い不安や緊張状態が続いているときは、無意識に呼吸が浅くなりがちです。ゆっくりとした呼吸をくり返すと、副交感神経が活性化されて心の安定につながるといわれているため、ストレスを感じたときは呼吸に意識を向けましょう。腹式呼吸の手順は下記のとおりです。
1.背筋を伸ばして、軽く目を閉じる。
2.お腹に手を当てて、8秒かけて口から息を吐く(お腹を凹ませていく)
3.4秒かけて鼻から息を吸い込む(お腹を膨らませていく)
4.2~3を5回ほどくり返す。
頭のなかで数字を数えながら行うと、呼吸に集中しやすくなります。椅子に座りながらでもできる手軽な腹式呼吸は、就寝前に行うのもよいでしょう。日々のルーチンワークとして気軽に取り入れやすく、おすすめです。
アロマでリフレッシュする
好きな香りを嗅ぐと脳を通じて自律神経が整いやすくなり、リラックス作用やリフレッシュ効果がもたらされるといわれています。
さまざまな種類のアロマがありますが、特にストレス解消におすすめなのはラベンダー、イランイラン、ローズ、ベルガモットなどです。自分の好きな香りを活用して、ストレス解消に努めるのもおすすめです。
まとめ
ストレス過多の状態が続くと、肌荒れに悪影響をおよぼします。ホルモンバランスや自律神経の乱れにつながるため、早めに対策をすることが大切です。
まずはご自身の肌と向き合い、スキンケアの見直しや生活習慣を整えて、健やかな肌をキープしましょう。ほかにも、腹式呼吸やアロマなどを活用して気分転換するのもおすすめです。