プラセンタとは?
プラセンタとは、英語で「哺乳類の胎盤」を意味する言葉です。胎盤は、胎児と母体をつなぎ、栄養や酸素を供給するとともに、胎児の老廃物を排出して母体の血液に戻す役割があります。
胎盤には、胎児の成長に不可欠な成長因子や、体内でしか合成できない必須アミノ酸など、赤ちゃんが元気に育つために必要な栄養が豊富に含まれているのです。
人だけでなく、牛や豚・馬などの動物も妊娠中に胎盤を形成します。多くの動物は出産後、この胎盤を摂取することがあります。その理由として、出産で低下した体力を回復させる効果が期待できるためだと考えられているようです。
一部の国や地域では、人間が出産後に胎盤を食べる習慣があるといわれているものの、日本ではあまり一般的ではありません。
そんなプラセンタですが、古くから生命力の源として重宝され、薬用として利用されてきた歴史があります。紀元前の中国では秦の始皇帝、古代エジプトではクレオパトラが、その効果に期待を寄せていたといわれています。日本でも生薬として親しまれてきた歴史があり、今もなお生活に根付いているのです。
プラセンタで期待できる効果
栄養豊富なプラセンタですが、美容や健康にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、プラセンタを摂取することで期待できる効果を紹介します。
美容面で期待できる効果
美容面で期待できる効果は下記の通りです。
美容効果 | 特徴 |
肌の再生力の向上 | プラセンタに含まれる成長因子が肌細胞の代謝を促し、肌のターンオーバーの周期をサポートする。 エラスチンやコラーゲンに働きかけ、肌にハリを与える。 |
肌の保湿力の向上 | アミノ酸などの保湿成分を豊富に含み、肌の水分を保持する力を高め、乾燥肌を防ぎうるおいのある肌へ導く。 |
美白効果 | メラニン色素をつくる酵素(チロシナーゼ)の活性化を防ぎ、シミのもとになるメラニンの合成を抑える。 肌のターンオーバーの周期を促すことで、効率良くメラニンを排出する。 |
抗炎症作用 | 肌の炎症を抑え、細胞を修復するはたらきがある。 赤みなどの肌トラブルを防ぐ。 |
抗酸化作用 | 紫外線を浴びることで生成される活性酸素から肌を守り、酸化によるダメージを軽減し、若々しい肌を保つ。 活性酸素で傷ついた細胞を修復する。 |
健康面で期待できる効果
健康面で期待できる効果は下記の通りです。
健康効果 | 特徴 |
自律神経調整作用 | 自律神経系のバランスを整え、ストレスや不眠などの症状を緩和する。 |
強肝・解毒作用 | 肝臓の機能を高めて解毒作用を促す。 体内に蓄積された毒素の排出をサポートし、健康を維持する。 |
免疫賦活作用 | 免疫機能を強化し、病気に対する抵抗力を高める。 |
内分泌調整作用 | ホルモンバランスを整える。 特に、更年期障害の症状を緩和するはたらきが期待できる。 |
血行促進・造血作用 | 血行が改善され、冷えや貧血を予防できる。 全身に必要な栄養を届けることができる。 |
ほかにも、基礎代謝向上作用や抗炎症・抗酸化作用などの効果も期待できます。
プラセンタの種類
プラセンタは人や動物に存在し、いくつかの種類に分類されます。ここでは、「動物性プラセンタ」「植物性プラセンタ」「海洋性プラセンタ」のそれぞれの特徴について解説します。
種類1|動物性プラセンタ
化粧品などに含まれるプラセンタの多くは、「動物性プラセンタ」を原料にしています。主にヒト、ブタ、ウマなどの哺乳動物プラセンタが利用されますが、医療用として使う場合は、主にヒトプラセンタの使用が認められています。
一方、化粧品の原料としては、ブタプラセンタやウマプラセンタが広く活用されています。それぞれの特徴は下記の通りです。
成分 | 特徴 |
ブタプラセンタ | 化粧品の原料として最もよく使われている。ブタの体の成分が人間と似ているため、人間の肌になじみやすい。 |
ウマプラセンタ | 主にサラブレッドなどの馬の胎盤を原料としたもの。ブタプラセンタに比べてアミノ酸が豊富。馬肉は衛生的に扱われることから、原料の安全性も確保されやすい。ただし、生産量が限られているため、製品の値段が高くなる傾向がある。 |
動物性プラセンタは栄養豊富である一方で、独特の匂いがするため苦手な方もいるようです。
種類2|植物性プラセンタ
プラセンタというと、動物の胎盤をイメージされる方も多いですが、実は植物性のものもあります。植物にも胎盤と似たようなはたらきをする部分(胎座)があり、そこから抽出した成分を「植物性プラセンタ」と呼ぶことがあるのです。
植物性プラセンタは、アミノ酸やビタミン、ミネラルなどの栄養素を豊富に含み、肌にうるおいを与えたり、美白効果が期待されたりすることから、化粧品の原料として注目されています。
ただし、動物性プラセンタのような成長因子は含まれていません
種類3|海洋性プラセンタ
近年では、海の生き物から作られる「海洋性プラセンタ」も注目されています。植物性プラセンタと同様に、動物のように胎盤はありませんが、魚卵の周りにある卵巣膜から抽出した成分です。
海洋性プラセンタには、動物性プラセンタに含まれる成長因子はありません。しかし、肌に必要なアミノ酸やコラーゲン、ヒアルロン酸などが豊富に含まれているため、スキンケア製品に活用されているものもあります。
プラセンタを取り入れる方法
プラセンタの摂取方法は、主に「医薬品」「美容ドリンクやサプリメント」「化粧品」の3つです。ここでは、プラセンタを取り入れる方法を紹介します。
摂取方法1|医薬品
肝機能障害や更年期障害の治療薬として、プラセンタを取り入れる方法があります。この場合、治療の一環として用いられるため、保険適用となります。
人の胎盤から抽出したプラセンタ製剤を投与する方法は、皮下注射や筋肉注射です。健康な方でも美肌づくりを目的として、美容クリニックでプラセンタ注射を受けることも可能です。
プラセンタ注射は即効性がありますが、状態を維持するには週に2回ほど通院しなければなりません。注射のほかに、プラセンタが配合されている市販の内服薬を活用する方法もあるため、状況に合わせて選択すると良いでしょう。
医薬品のプラセンタは、滋養強壮や肉体疲労の緩和などの効果が期待されていますが、注射のような即効性はありません。継続して摂取することで、一定の効果を得ることができます。
摂取方法2|ドリンク・サプリメント
動物の胎盤由来のプラセンタエキスを配合した美容ドリンクやサプリメントも、手軽に美容ケアができることから人気があります。プラセンタを摂取してもその効果は一時的であるため、継続して摂取することが大切です。
医薬品のほうが即効性はありますが、保険適用でない場合は、長期間使用することで費用がかさんでしまいます。経済的な負担から、途中で断念せざるを得ない方もいるかもしれません。
そのため、気軽に続けたい場合は、医療品よりも費用を抑えられる美容ドリンクやサプリメントがおすすめです。無理なく続けられる価格帯のものが多いため、習慣化しやすいメリットがあります。
摂取方法3|化粧品
美容目的でプラセンタを使用する場合、注射や内服で内側から取り入れるだけでなく、化粧品で外側からケアすることも可能です。
プラセンタには、肌を健やかに保つために必要なアミノ酸やビタミン、ミネラルなどの成分が豊富に含まれています。いつものスキンケアに、プラセンタエキスを配合した美容液などをプラスするのもひとつの方法です。
プラセンタを選ぶ際のポイント
プラセンタエキスが配合された美容ドリンクやサプリメント、化粧品を選ぶ際は、パッケージの表記を確認しながら、なるべく濃度が高いものを選びましょう。
商品の中には、エキスの量が記載してあるものもありますが、プラセンタエキスを粉末状にした紛末量がしっかりと明記されているものがおすすめです。
パッケージには配合量が多いものから表記されるため、化粧品などを選ぶ際は、なるべく前のほうにプラセンタが書かれているものを選びましょう。
美容ドリンクの場合、高濃度のプラセンタが配合されていても、飲みづらければ継続するのは難しいものです。習慣化できるように、好みの味を見つけることも大切です。毎日飲むものなので、添加物が少ないものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
哺乳動物の胎盤であるプラセンタは、美容や健康にうれしい成分が豊富に含まれていることから、医薬品や美容ドリンク・サプリメント、化粧品などに幅広く活用されています。
美容面では保湿効果や美白効果などが、健康面では自律神経の調整や基礎代謝の向上などが期待されています。動物性、植物性、海洋性の3種類のプラセンタから、用途に合わせて選びましょう。