レチノールとはどんな成分?期待できる効果や使用時のポイントも紹介

近年、レチノールを配合した化粧品が増えており、その効果が注目されています。どのような成分か気になっている方もいるでしょう。今回は、レチノールで期待できる効果や、レチノール配合の化粧品を使う際のスキンケアのポイントを解説します。


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レチノールとは?

レチノールは、ビタミンAの一種です。

ビタミンAは、油に溶けやすい性質を持ち、体内で皮膚や粘膜の健康維持や成長の促進、視覚機能に関係する栄養素です。体内では生成できないため、食事やスキンケアから取り入れる必要があります。

レチノールは、光や酸素、熱などの影響で分解する不安定な成分のため、これまで化粧品への配合は困難でした。しかし、近年の製剤技術の発展や包装の改良により、安定性のあるレチノール配合化粧品が発売されるようになりました。

なお、ビタミンAにはトレチノインもありますが、トレチノインはレチノールよりも作用が強いため、医療用医薬品とされ医療機関での処方となります。レチノールはトレチノインよりも作用が穏やかなため、医薬部外品や化粧品に配合が可能で、広くスキンケアに用いられています。

レチノールで期待できる効果

レチノールの美容効果は、次の4つとされています。

シワ改善や肌の弾力アップ

真皮層では、コラーゲンやエラスチンが肌の弾力を保っています。

レチノールには、真皮の線維芽細胞を活性化させることでコラーゲンやエラスチンの生成を促進し、分解する酵素を阻害するはたらきがあるため、肌の弾力アップが期待できます。

また、表皮ではターンオーバーの周期を促進することで浅いシワを改善し、ふっくらとしたなめらかな肌へと導きます。

毛穴のケア

毛穴が目立つ原因は、肌の弾力低下によって生じるもたつきや、過剰な皮脂分泌などがあげられます。

肌にハリや弾力を与えるコラーゲンやエラスチンの生成を促進するレチノールは、もたつき毛穴の対策にも有効とされています。

また、皮脂分泌を抑制するため、皮脂が詰まって目立つ毛穴にも効果が期待できます。

ニキビ予防

ニキビは、過剰な皮脂分泌により毛穴が詰まったところに、皮脂をエサとするアクネ菌が増殖し、炎症を起こしたものです。レチノールは、ニキビの原因となる皮脂の分泌量を抑えるはたらきを持つため、ニキビ予防に役立ちます。

また、ニキビの炎症によって、皮膚の組織がダメージを受けたり、ターンオーバーの周期が乱れたりすることで、ニキビ跡ができることがあります。

レチノールにはターンオーバー周期の促進作用があるといわれているため、ニキビ跡を目立ちにくくする効果も期待できます。

シミやくすみのケア

シミやくすみは、紫外線によるダメージから肌を守るために発生する「メラニン色素」によって引き起こされます。

先述した通り、レチノールはターンオーバーの周期を促進するはたらきがあるため、肌に留まったメラニン色素の排出を促す効果が期待でき、シミやくすみのケアに役立ちます。

レチノール配合の化粧品を使う際のポイント・注意点

レチノール配合の化粧品を使う際には、レチノールの性質上、知っておきたいポイントや注意点があります。

徐々に慣らしていく

レチノールを使い始めた際、一時的に下記のような症状が出ることがあります。

・乾燥
・肌の赤み
・肌の皮むけ
・かゆみ
・ヒリヒリ

これらは、「A反応」(レチノイド反応)と呼ばれ、肌荒れとは異なる反応です。

A反応は、新陳代謝が急に促されるために生じる反応で、肌のビタミンA濃度が低い場合や、配合されているレチノールの濃度が高い場合に起こりやすくなります。

肌の赤みやピリピリした刺激が気になる場合には、狭い範囲から使う、少量ずつ使う、2~3日間隔をあけるなど、肌の調子を見ながら少しずつ取り入れましょう。

なお、ヒリつきや赤みなどの症状が落ち着かず長く続く場合や、症状が強い場合にはA反応ではない可能性もあります。自己判断せず、皮膚科へ相談しましょう。

保湿をしっかりとする

レチノールには肌のターンオーバーを促進する作用があり、角層が一時的に薄くなるため、肌が乾燥しやすくなります。肌が乾燥すると、バリア機能の低下により外部からの刺激を受けやすくなるため、肌荒れを招くおそれがあります。

レチノールを使用する前後は、乾燥を防ぐため、化粧水やクリームなどで、しっかりと保湿しましょう。

肌の正しい保湿方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
保湿ケアで乾燥肌対策!正しい保湿方法とおすすめアイテム

必ず日やけ止めを塗る

レチノールは不安定で、紫外線や熱に弱い性質があります。そのため、レチノールを塗ったあとに紫外線を浴びると、レチノールの酸化や分解が進み、効果が薄れてしまいます。

また、レチノールを使用して肌の新陳代謝が活発になると、一時的に皮膚の角層が薄くなり、紫外線のダメージを受けやすくなります。特にA反応が起きているときは注意が必要です。

紫外線の影響を抑えるために、日中は必ず日やけ止めを塗りましょう。

日やけ止めの適切な塗り方を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
日やけ止めは「こまめに塗り直し」が鉄則!タイミング&テク

レチノールと相性の良い美容成分

レチノールと合わせて使うのにおすすめの、美容成分を紹介します。

ナイアシンアミド

ナイアシンアミドはビタミンB群の一種で、ビタミンB3やニコチン酸アミドとも呼ばれる、真皮のコラーゲン生成を促進する成分です。皮膚の健康維持にかかわり、シワや色素沈着をケアするはたらきがあります。

レチノールと併用することで、シワやハリ、色素沈着のケアなどに相乗効果が期待できるでしょう。

また、ナイアシンアミドには、炎症を抑える効果やバリア機能をサポートするはたらきもあるため、A反応による皮むけの軽減効果も期待できます。

コラーゲン・ヒアルロン酸

コラーゲンとヒアルロン酸は高い保湿力があり、ハリや弾力、みずみずしさを保つために欠かせない成分です。

レチノールと併用することで、A反応を弱められます。特に、乾燥肌や敏感肌の方は乾燥しやすいため、A反応の影響を抑えるのにおすすめです。

また、レチノールは、線維芽細胞の活性化によるコラーゲンの生成促進作用や表皮内でのヒアルロン酸の合成促進作用もあります。

コラーゲンやヒアルロン酸は、年齢とともに減少します。レチノールと併用することにより、さらに高い保湿効果を期待でき、エイジングケア(※)にも有効です。

※エイジングケア:年齢肌にハリやうるおいを与えること

ビタミンC

ビタミンCは水溶性、レチノールは油溶性です。安定するPhの違いによって同時配合が技術的に難しいことから、ビタミンCとレチノールは相性が悪いと考えられやすい組み合わせですが、成分自体の相性は良く、併用をおすすめできます。

ビタミンCには活性酸素のはたらきを抑えてコラーゲンの産生を促すはたらきや、メラニン生成の抑制作用、過剰な皮脂分泌の抑制作用、抗炎症作用があります。レチノールとの併用で、さらに高い効果が期待できます。

まとめ

ビタミンAの一種であるレチノールは、シワや目立つ毛穴のケアのほか、ニキビ予防やシミ・くすみをケアする効果が期待できます。

レチノールは肌のターンオーバーの周期を活発にするはたらきがあるため、肌が乾燥しやすくなる点に注意が必要です。また、紫外線の影響も受けやすくなるため、しっかりと保湿を行い、日中は必ず日やけ止めを塗りましょう。

なお、レチノールの使い始めは人によっては皮剥けやひりつきなどのA反応を感じることもあります。少量から肌の様子を見ながら使用してください。

関連記事:「敏感肌の人はレチノールを使っても大丈夫?使用時の注意点について解説

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